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G7の結束と中露 緊張を解く対話の努力も

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 大国間の緊張が急速に高まる国際情勢が浮き彫りになった。日米欧の主要7カ国(G7)が外相会合で中国とロシアへの対抗姿勢を鮮明にした。

 共同声明は、中国の人権侵害や不公正な貿易慣行に懸念を表明し、「東シナ海と南シナ海の状況を深く懸念する」と明記した。

 ロシアに対しては、ウクライナへの軍事圧力や、サイバー攻撃などを列記し、「無責任かつ不安定化を招く行動」と憂慮を示した。

 中露と損得勘定で交渉し、融和と衝突を繰り返したのがトランプ前米大統領だった。G7が、民主主義などの価値を再確認し、ルールに基づく国際秩序に立ち返って結束した意義は大きい。

 とくに討議で時間を割いたのが中国問題だ。欧州諸国の対中認識は経済関係に応じて濃淡があり、台湾問題への危機感も異なる。

 議長国の英国や対中強硬姿勢をとる米国が主導し、人権や法の支配など共有する価値をかすがいに足並みをそろえたという。

 日米欧の共通の利益を損なうような行動に決然とした態度を示すのは当然だろう。そのために連携を強化するのも有益だ。

 問題は、高まった緊張をどう制御するかだ。対立が深まれば世界が分極化しかねない。

 必要なのは、協調できる土台を広げていくことだ。

 国民への弾圧を続けるミャンマー軍への対応は、制裁だけでは限界がある。東南アジア諸国連合(ASEAN)の外交努力を日米と中国が協力して後押しすべきだ。

 北朝鮮の核・ミサイル問題を解決するには、後ろ盾である中露との協議が不可欠だ。日米韓は核廃棄に向けてともに政策を調整するよう呼び掛ける必要がある。

 イランの核交渉の成否は、欧米だけでなく、中東への影響力を高める中露の利害にも直結する。地域の不安定化を避けるためには、関係国の連携が欠かせない。

 世界はグローバル化が進み、相互依存が強まっている。環境破壊や感染症だけでなく、経済格差から核拡散まで、人々の生活に影響を与える課題は幅広い。

 これらは大国同士の協力なしに解決できない。対抗一辺倒ではなく、対話にも心を砕くことが、外交のあるべき姿である。

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