20年寝たきりの秘書と果たした夢 分身ロボットカフェとは

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オリィ研究所の吉藤健太朗さん。分身ロボット「オリヒメ」と一緒に「寝たきりの先の憧れの社会」の実現に向けて、カフェをオープンする=東京都港区で2021年4月8日午後3時4分、生野由佳撮影
オリィ研究所の吉藤健太朗さん。分身ロボット「オリヒメ」と一緒に「寝たきりの先の憧れの社会」の実現に向けて、カフェをオープンする=東京都港区で2021年4月8日午後3時4分、生野由佳撮影

 夢を後押ししたのは、20年以上寝たきりの秘書との「約束」だった――。ロボットが接客をするカフェが東京・日本橋に6月、オープンする。その名も「分身ロボットカフェ」。外出が難しい重度障害者らが“分身”のロボットを遠隔操作し、飲み物を運んだり、客とおしゃべりしたりするという。不登校やひきこもりの経験から「孤独の解消」を人生のミッションに掲げる若きロボット研究者が、秘書と出会い、温めてきた構想を具体化した。カフェを通して描く未来とは。【生野由佳/デジタル報道センター】

元バリスタのALS患者が腕を振るうカフェ

 「分身ロボットカフェDAWNver.β(ドーンバージョンベータ)」は、6月21日にオープン予定。5月9日までクラウドファンディング(https://camp-fire.jp/projects/view/405051)で運営資金を集めている。企画したのは、ロボット研究者で、「オリィ研究所」所長の吉藤健太朗さん(33)だ。オープンのきっかけとなる秘書との約束は後述するとして、まずはどんなカフェか紹介したい。

 約170平方メートルとゆったりしたスペースに70席用意し、各種コーヒーや、ランチなどを提供する。ストレッチャータイプも含めて車いすでの利用が可能で、人工呼吸器といった医療機器の充電用電源を貸し出すなどバリアフリーを充実させるが、それだけではない。こだわりは、カフェの店頭案内や接客、フロア全体の指示まで高さ120センチの可動式ロボット「OriHimeD(オリヒメD)」が務めることだ。

 「オリヒメD」は人工知能(AI)などによる自動のロボットではなく、それぞれに操作する人が存在する。そこが「分身」たるゆえんだ。操作する人は、「パイロット」と呼ばれる。カフェでは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や脊髄(せきずい)性筋萎縮症(SMA)などの難病を抱え、行動制限がある全国各地の重度身体障害者たちがパイロットを担う。自宅や病院から遠隔操作するのだ。さらに、元バリスタのALS患者がパソコンへの入力で特注の「テレバリスタ」を動かし、客の好みに合わせた一杯のコーヒーを作るという。

分身ロボット「オリヒメ」とは

 では、オリヒメはどのような仕組みなのか。…

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