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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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新たなバブルか…

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 新たなバブルか、アートの世界を変革する大発明か--。第三者によるデータ改ざんが困難な先端技術、ブロックチェーンを使って画像や動画などを「唯一無二」のデジタル資産に仕立てる「NFT(非代替性トークン)」への投資がブームとなっている▲デジタル作品は従来、複製が容易なため、資産価値を持ちにくいとされていた。ところが、仮想通貨(暗号資産)にも活用されるブロックチェーンで登録・管理すれば最初につくられた「オリジナル」のデジタル作品を証明できるという▲3月、米ツイッター創業者の初ツイートのNFTに3億円超の値が付いた。米人気プロバスケットボール選手がダンクシュートを決める動画のNFTは2000万円以上で売れた▲老舗競売会社も参入し、ブームはとどまることを知らないようだ。ただし、買い手の多くは若年層。実物の有名絵画を買う常連客は入札にあまり参加していないという▲ブームの背景として、コロナ下の財政出動・金融緩和による世界的なカネ余りが指摘される。投資マネーの流入で仮想通貨の相場はこの1年で4倍近くに膨らんだ。これでもうけた個人が「NFTに殺到した」ともされる▲「投機のエピソードには、金融の手段または投資機会について一見新奇で大いにもうかりそうなことを発見して得意になる面が常にある」。米経済学者ガルブレイスは17世紀オランダのチューリップ投機以降のバブルを論じた著作でこう喝破した。存命なら、どう評するだろうか。

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