スコットランドの「意思」 拒む英政府 独立問う住民投票巡り攻防

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独立派の勝利を受け、笑顔で記者団に手を振るスタージョン自治政府首相=英スコットランド・エディンバラで2021年5月9日、AP
独立派の勝利を受け、笑顔で記者団に手を振るスタージョン自治政府首相=英スコットランド・エディンバラで2021年5月9日、AP

 英国を構成する英連合王国の一つ、スコットランドの自治議会選(6日投票、定数129)は、英国からの独立を志向する地域政党・スコットランド民族党(SNP)が第1党を維持し、緑の党と合わせて独立派が過半数となった。SNPは新型コロナウイルス禍の終息を待ち、独立の是非を問う住民投票を実施する意向だ。しかしジョンソン英首相は実施を認めない姿勢で、攻防は激化しそうだ。【ロンドン服部正法】

自治議会選で独立派勝利 コロナ対策も追い風に

 「これは国(スコットランド)の意思だ」。SNP党首で自治政府首相も務めるスタージョン氏は8日の勝利宣言で、住民投票実施への信任を得たとの認識を示した。2023年末ごろまでの実施を検討している。

 正規の住民投票には英政府の同意が必要になる。だがスタージョン氏は、英政府が拒絶した場合は「ウェストミンスター(英中央政界)がもはや連合王国を各国の自由意思による連合とみなしていない。そのことを決定的に示すことになるだろう」と述べ、投票実施に難色を示すジョンソン首相をけん制した。

 なぜSNPが勝利できたのか。背景には長期的に醸成された「SNP政権」への信頼感、それと軌を一にして広がった独立意識の高まりがあるとみられる。

 工業化が進んだスコットランドでは1920年代以降、労働者の権利を擁護する労働党が支持を拡大。最大都市グラスゴーなどは同党の牙城となった。だが左派政党のSNPは徐々に労働党支持層を切り崩し、2007年からは与党として自治政府を継続的に運営。北欧の福祉国家型の社会民主主義を志向するSNPは保健医療・教育など生活に身近な分野の行政で実績を重ね、有権者に浸透した。

 さらにSNPの長期政権は、英中央政界の伝統的な2大政党である保守党、労働党とは一線を画す住民意識を作り上げた。「私たちは長い間、国政与党・保守党による支配を経験していない。自分たちで政治を決めたい」(21歳のグラスゴー大学生)。こうした有権者の声も日常化し、14年には独立の是非を問う初の住民投票が実施された。この時は賛成161万7989票(得票率44・7%)、反対200万1926票(同55・3%)で否決されたものの、投票率は84・6%に上り、スコットランド住民の独立問題への関心の高さを内外に示した。

 スタージョン氏の新型コロナウイルス対応が「追い風」となった面もある。スタージョン氏は…

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