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多様な家族の形あっていい 原宿カウンセリングセンター・信田さよ子所長

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=小出洋平撮影
=小出洋平撮影

 家族とは何か。臨床心理士で原宿カウンセリングセンター(東京都渋谷区)所長の信田さよ子さん(74)は、長年この問いに向き合ってきた。依存症、家庭内暴力(DV)、児童虐待……。相談者の苦悩の背後にはいつも家族の問題があったからだ。そんな信田さんが、5月末で所長を引退するという。臨床で接した家族の問題はどう変遷してきたのか。それを聞きたくて、信田さんの元を訪ねた。

 多忙な人である。1970年代から精神科病院などで勤務し、95年に独立してカウンセリングセンターを開設。臨床の傍ら講演で全国を飛び回り、さまざまな依存症や家族に関する書籍、論文を多数執筆してきた。鋭い筆致と温和で時にユーモアを交えた語り口に、ファンは多い。

 開設当初は、子どもの薬物使用や暴力、不登校などについて相談する親が多かったという。90年代後半以降は、「アダルトチルドレン」が注目されるようになった。親がアルコール依存症だったり、親から虐待されたりするなど、子どものころに受けた経験からトラウマ(心的外傷)に苦しみ、大人になっても生きる上でさまざまな困難を抱える人たちのことだ。信田さんの元にも、親との関係に悩む多くの人が訪れた。そして2000年代に目立ち始めたのが、過干渉の母親に苦しむ30代の娘たちだった。

 娘たちは、男女雇用機会均等法が施行された86年ごろに就職し、男性と同等の就職が法律で保障された最初の世代。対する母親たちは、47~49年ごろの第1次ベビーブームに生まれた「団塊世代」とその少し後の世代で、多くが専業主婦の道しか選べなかった世代だ。信田さんは語る。「母親たちはキャリアを築く夢を娘に託す一方、『結婚して出産し、女としての幸せもつかみなさい』という圧力をかけ続けました。『だって私はあなたたち子どものために人生を犠牲にしたのよ』と」

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