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参院の選挙制度改革 また先送りするつもりか

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 参院の選挙制度を改革するための議論が週内にも始まる。選挙区における「1票の格差」をどう是正するかが焦点だ。

 2019年の前回参院選では、格差は最大3・00倍だった。最高裁は昨年11月に選挙は合憲と判断する一方で、「国会の格差是正の取り組みが大きな進展を見せているとはいえない」と与野党に苦言を呈した。

 判決から約半年がたち、次回の22年選挙までは1年あまりしかない。速やかに始めるべき議論を先送りしてきた責任は重い。

 1票の格差について、最高裁は10年と13年の参院選を「違憲状態」と判断した。それを受け、15年に公職選挙法が改正された。

 これにより、議員1人あたりの有権者数を増やすため、人口の少ない二つの県を合わせて一つの選挙区とする合区が導入された。「鳥取・島根」と「徳島・高知」という選挙区が生まれた。

 だが、合区には弊害が出ている。19年選挙では、対象4県のうち3県で投票率が過去最低となった。なじみの薄い候補に投票しなければならなくなることが関心の低下を招いたという指摘もある。

 都市部への人口集中は進んでおり、今のままでは格差は拡大していく一方だ。小手先の改革ではなく、抜本的な見直しが急務だ。

 そもそも与野党は、15年の改正公選法の付則で「抜本的な見直し」を約束していた。にもかかわらず、それを果たしていない。

 過去の与野党協議では、全国を10程度の大きなブロックに分ける制度なども提案されてきたが、議論は深まらなかった。

 合区への不満が強い自民党は、憲法を改正し、「1票の格差」が問題にならないようにする案を掲げる。だが、他党の賛同を得られる見通しはなく、現実味は薄い。

 参院は「熟議の府」と呼ばれ、衆院の結論を再考し、行き過ぎを正す役割が期待されている。だが、独自性を発揮できず、「衆院のコピー」と批判されてきた。

 抜本的な改革に向けて必要なのは、衆院と参院の役割分担や参院のあり方を巡る本質的な議論だ。それを通じて、1票の格差を解決する方向を見いだすべきだ。

 党利党略にとらわれない建設的な話し合いが求められる。

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