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ヤングケアラー

通学や仕事をしながら家族の介護をする子ども「ヤングケアラー」。将来が左右される深刻なケースも。

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ヤングケアラー~幼き介護

政府、ヤングケアラー支援マニュアル策定へ 多機関で情報共有図る

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ヤングケアラーは年齢や成長に見合わない重い責任や負担を負っていることが多い(写真はイメージ)=ゲッティ 拡大
ヤングケアラーは年齢や成長に見合わない重い責任や負担を負っていることが多い(写真はイメージ)=ゲッティ

 政府は、家族の介護や世話をする子ども「ヤングケアラー」の支援マニュアルを策定する。政府関係者への取材で判明した。学校や教育委員会、行政の福祉部門、地域相談機関などが連携して支援するノウハウを具体的に盛り込み、年度内の策定を目指す。ヤングケアラーの背景には、さまざまな家庭事情があることから、多機関連携を一層促すことで情報共有を図る。【山田奈緒/デジタル報道センター】

 ヤングケアラーをめぐっては、支援策を検討している厚生労働・文部科学両省の共同プロジェクトチーム(PT)が5月中に報告書をまとめる予定だ。政府は報告書を受けて有識者会議を設置し、マニュアルの策定に着手する。子どもに関わる各機関が担う役割を明確にし、子どもの状況に応じた情報の共有のあり方や提供先などを具体的に盛り込みたい考えだ。都市部と地方との違いも検証するため、複数の地域でモデル事業を実施することも検討している。

 PTの報告書には、早期発見に向けた啓発や相談体制の拡充などの支援方針が盛り込まれる見通し。支援のあり方については、多機関が連携する重要性は教育や福祉の現場で認識されているものの、その実行は難しく、各地で手探りの対応が続いている。政府関係者は「PTで示された支援策を有効に機能させるには、子どもに関わるさまざまな職種をつなぐマニュアルは必須だ」と話す。

 厚労省は2019年、虐待児などに対応する市町村の「要保護児童対策地域協議会(要対協)」に、「(ヤングケアラーに対する)関係部署との連携による適切な対応」を求める通知を出した。しかし、要対協が医療、福祉、学校、行政などの分野を超えて積極的に子どもの支援に動くのは、虐待が深刻な状態になっているケースであることが多い。

 ヤングケアラーの過度なケア負担の問題は、介護や看病、貧困などさまざまな家庭環境が関係しており、要対協が中心になってヤングケアラー支援を進めるには限界があった。文科省も19年、各都道府県の教育委員会に同様の趣旨の通知を出したが、現場で実行できているとは言いがたい。

 それは、政府のヤングケアラー実態調査(4月12日公表)の結果からも浮き彫りになっている。学校からは「関係機関に積極的に(情報)収集しないと、(支援が必要な子どもに関する)過去の情報が分からない」「家族の問題が多く、支援できない。どこに相談したらいいのか分からない」「複数の市から生徒が通学しており、それぞれの自治体との連携が難しい」――などの訴えがあった。その一方で、市の福祉部門からの情報提供のおかげで、生徒がきょうだいの世話に追われている実態に気づけた、という事例報告もあった。

【ヤングケアラー】

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