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町田樹さんの世界

町田樹さん 「著作権の壁」乗り越えて、映像作品集を14日発売

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元フィギュアスケーターの町田樹さん=東京都千代田区で2020年6月5日、内藤絵美撮影
元フィギュアスケーターの町田樹さん=東京都千代田区で2020年6月5日、内藤絵美撮影

 元フィギュアスケーターで、国学院大助教の町田樹さん(31)にとって初めての映像作品集「氷上の舞踊芸術」(新書館、税込み2万4000円)が14日に発売される。「継承プロジェクト」の一環として田中刑事選手が演じて話題になった「Je te veux(ジュ・トゥ・ヴ)」をはじめ、選手時代からプロスケーター時代にかけて滑った自作をブルーレイに収録した。この間演じたのは10作品だが、今回収録できたのは6作品。町田さんは、発売に至るまでにいくつもの高いハードルがあったと振り返る。【高橋咲子/学芸部】

アーカイブ化と著作権料

 町田さんは2014年、ソチ冬季五輪で5位入賞し、同年の世界選手権で銀メダルを獲得。現役引退後の15年に早大大学院に進学し、プロスケーターとして活動した。18年にはプロを引退し、芸術的スポーツが持つ課題と可能性について多角的に研究を続けている。そんな町田さんが研究を通して訴えていることの一つに「演技のアーカイブを早急に整備すること」がある。今回の作品集は、その実践と言える。

 今回の「アーカイブ化」については困難が伴ったという。その理由を、こう説明する。

 「フィギュアスケートはアーカイブするのに本当に苦労するスポーツです。というのは、まず振り付けや音楽の著作権があります。それから私たちは競技会やアイスショーで演技をするわけですが、そのイベント主催者の権利、テレビ局などの映像の著作権があります。さらには被写体となっている人物の肖像権もありますね。このような形で権利にがんじがらめにされているため、なかなかアーカイブが進まないのです」

 まずこだわったのは、実際に会場で用いられた音源をそのまま使うことだった。

 「私は研究などの著作で、フィギュア…

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