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「姉はDV(ドメスティックバイオレンス)被害者だったのに、拘束され適切な治療も受けられなかった。日本人ならこうはならなかったのでは……」。名古屋出入国在留管理局(名古屋市)で3月に死亡したスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)の遺族2人が毎日新聞のインタビューに、姉の死に対する無念の思いを語った。「早く姉の姿を見たい。そして死をめぐる真実を知りたい」。そう語る2人の言葉を詳報する。【和田浩明/デジタル報道センター】
「事実を見つけるために来た」
2人はウィシュマさんの妹で次女のワユミさん(28)と三女のポールニマさん(26)。1日に支援者らの協力で来日し、15日まで自主隔離。インタビューは10日にオンラインで行った。16日にウィシュマさんの葬儀に出席し、19日前後に東京都内で記者会見を予定している。
日本に来たのは「姉(の遺体)に対面し、事実を見つけるためだ」と説明。これまでに、ウィシュマさんの支援者向けの手紙や装飾具、ペンなど遺品の一部を見たという。ワユミさんは「母のように優しかった姉のことが次々思い出されて悲しみを新たにしている」と話した。
ワユミさんらは、ウィシュマさんを撮影した名古屋入管の監視カメラの映像を開示するよう求めている。だが、出入国在留管理庁が「保安上の必要性や本人のプライバシー」を理由に拒否していることを知らせると、「失望している」と発言。上川陽子法相ら関係省庁の幹部に面会して説明を求めたいと強調した。上川氏は衆院法務委員会での答弁で、遺族と面会しない意向を表明している。
ポールニマさんは「日本は発展した国であり、安定した(社会)システムがあるのに、なぜこんなことが起きるのか不思議だ。ぜひ映像や検視記録などを確認したい」と語った。2人によると、これまで日本側から直接的な接触や事情の説明はないという。
「日本は安全」と語っていたのに……
ワユミさんらによると、ウィシュマさんは生前、日本について「安全な国で人々も優しい」と語り、否定的なことは口にしなかった。スリランカで教えていた語学学校にいた日本人の同僚から日本の歌を習ったり写真を見せてもらったりしたことがあると言っていたという。
ウィシュマさんは日本で英語を教えることを希望して2017年6月に来日し、日本語学校で学んだが、経済的な理由で学校に通えなくなり在留資格を失った。
20年8月に同居していたスリランカ人男性からのDV被害を訴えるために静岡県内の警察署を訪れたが、保護してもらえず、…
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