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奄美・沖縄、世界遺産へ 自然との共生学ぶ機会に

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 鹿児島、沖縄両県にまたがる「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が、世界自然遺産に登録されることが確実になった。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関が勧告した。日本で5カ所目となる。

 4島は、九州の南に連なる琉球列島に位置する。ユーラシア大陸から約200万年前までに切り離され、独自の生態系がはぐくまれてきた。

 アマミノクロウサギ、ヤンバルクイナ、イリオモテヤマネコなど固有種75種を含む100種近い絶滅危惧種が生息する。亜熱帯地域の豊かな生物多様性が「世界の宝」と評価された。後世に引き継ぐ責任が、一層増すことになる。

 3年前、推薦地の点在を理由に登録が認められず、今回は再挑戦だった。対象地域をまとめ、一体的な保全を可能にしたことが朗報につながった。アマミノクロウサギを攻撃するマングースなど外来種の駆除も進めた。

 登録にめどはついたが、課題は残る。

 勧告にあたり、諮問機関からは西表島への観光客の制限や、希少動物が車にひかれる被害の抑制を求められた。

 国内の他の自然遺産も、登録後に観光客が急増した。このため、エコツアーの活用やマイカー規制などの入域制限、啓発活動など、さまざまな対策が取られた。官民が協力して、これまでの教訓や経験を十分に生かしたい。

 この地域の大きな特徴は、地元の人たちが暮らしに役立ててきた森林が多いことだ。とりわけ奄美大島、徳之島は、手つかずの原生林が少ない。

 人の営みの近くで、貴重な生態系が守られてきた。自然との付き合い方を示すモデルといえる。環境省などが「環境文化」と呼ぶ社会のありようだ。

 人獣共通感染症である新型コロナウイルスの流行をきっかけに、自然とのかかわり方が問い直されている。過剰な開発によって野生動物との接触が増え、新たな感染症を招いてきたからだ。

 両者の境界をバランス良く守ることは、自然保護、地域振興の双方につながるだろう。

 今回の登録を、自然との共生を考える機会にしたい。

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