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デジタル関連法の成立 個人情報守る体制が急務

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 デジタル庁の創設や個人情報保護制度の見直しを盛り込んだデジタル改革関連法が成立した。国や自治体が持つデータをビジネスに生かす取り組みも加速させる。

 ITを活用して国民の利便性を高めることは大事だ。ただし、プライバシーが侵されないかとの懸念がぬぐえない。

 行政のデジタル化の遅れから、新型コロナウイルス感染者情報の把握や、企業・個人への支援金給付で目詰まりが生じた。

 こうした事態を教訓として、9月に発足するデジタル庁が司令塔となり、情報システムを整備し、事務を効率化するという。

 だが、組織いじりに終わらせてはならない。意識改革を進め、前例踏襲や縦割り、住民の申請がないと動かない受け身の姿勢といった行政の弊害を抜本的に是正する必要がある。

 情報公開の充実も問われる。政策に関する情報を公開し、国民の反応や提案を受け止めて改善を重ねる取り組みが不可欠だ。

 しかし、政府にそうした姿勢は乏しい。

 コロナ対策では専門家会議の議事録作成が不十分だった。国民と情報を共有し、対策の効果を高めようという意識が感じられない。

 民間へのデータ提供にも課題がある。これまでの取り組みでは、米軍基地を相手取った訴訟の原告団や、国立大学の授業料を免除された人に関わるものまで提供の対象にされていた。

 今後は、慎重な取り扱いを要する自治体の住民情報も提供の対象となる。誰か分からないように加工すると政府は言うが、複数のデータを突き合わせて個人が特定される可能性は否定できない。

 人工知能(AI)を使えば個人情報を容易に分析できる。プライバシーが侵害されないための明確な指針の策定は最優先課題だ。

 行政機関の情報管理体制は、個人情報保護委員会がチェックすることになった。だが、主に民間を監督している現在の陣容のままでは、対応しきれないだろう。

 知らないうちに自分の情報が漏れたり、不当に使われたりしているとの不安を抱えたままでは、安心して暮らせるデジタル社会は実現しない。個人情報を守る体制の構築が急務だ。

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