「またか」自治体から悲鳴 政府の「縦割り」重複調査は解消するか

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霞が関の官庁街(手前)。左奥は国会議事堂=東京都千代田区で、本社ヘリから宮武祐希撮影
霞が関の官庁街(手前)。左奥は国会議事堂=東京都千代田区で、本社ヘリから宮武祐希撮影

 「介護施設の職員数と入所者数は?」「牛の破傷風が発生した戸数と頭数は?」――。霞が関の省庁から1年に複数回届く同じ質問に、自治体や介護施設の担当者からは「この前、答えたのに、なぜまた答えないといけないのか」と悲鳴が上がっている。一般にはあまり知られていない「業務調査」の重複問題は長年、省庁による「縦割り」の象徴となってきた。見直しを求める自治体などからの声を受け、政府は今年に入ってようやく重い腰を上げた。

介護施設職員から「通報」

 2020年10月、河野太郎行政改革担当相が省庁の縦割り打破に向けて設けた、規制改革や行政改革についてオンラインで意見を募る「縦割り110番」に、地方の介護施設職員から「通報」があった。

 「重複した調査が来て回答の負担が大きい」

 介護施設は介護保険法に基づき、年1回、職種別の職員数や入所者数のほか、2人部屋、3人部屋といったタイプ別の部屋数などの基本情報を都道府県に報告することが義務付けられている。だが、これとは別に厚生労働省は毎年10月1日時点で調査する一般統計「介護サービス施設・事業所調査」でも同様の項目について回答を求めていた。

 さらに、規制改革や行政改革に機動的に対応するため設けられた河野氏の「直轄チーム」を中心に、内閣官房行政改革推進本部、総務省統計局の14人の合同チームで調べたところ、老人福祉法に基づく報告や、厚労省が実施する「社会福祉施設等調査」とも調査項目の多くが重複していた。河野氏の指示を受け、直轄チームは2月、厚労省に改善を要求。厚労省は、調査事項を統廃合した上で、22年度から新しい調査体系に移行することを決めた。

年間1800種類に及ぶ調査 前例踏襲も

 業務調査は、政府のあらゆる政策の参考となる基本的な調査と位置づけられ、都道府県などに対する「通知」「事務連絡」による調査も含まれる。各省庁の部局が地方自治体や医療・福祉施設、業界団体などにメールなどの文書で依頼するのが通例だ。省庁別では、社会福祉政策や労働行政を担う厚労省のほか、企業や業界団体を所管する経済産業省や農林水産省、国土交通省などが多い。

 直轄チームによる自治体への聞き取りによると、国から自治体に対する…

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