政界工作メモは「暗号」 IR汚職、明かされた政治家6人の実名
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「秋さん5抜き200」「下さん2抜き100」――。カジノを含む統合型リゾート(IR)を巡る汚職事件で、収賄罪などに問われた衆院議員、秋元司被告(49)の公判で4月、暗号のような「贈賄メモ」が検察側の証拠として提示された。贈賄側のキーマン2人の証人尋問を通じてこれらのメッセージが解読されると、IR利権を目指して複数の国会議員に現金が配られた政界工作の一端が見えてきた。
秋元議員側「事件はフィクション」
「起訴された全ての事件は無罪です」。3月29日、東京地裁で開かれた初公判。秋元議員は裁判長に促されると右手を挙げて証言台に向かい、準備した紙を約10分にわたり読み上げ、潔白を訴えた。2019年12月に逮捕される前は黒々としていた頭髪は、白に変わっていた。
秋元議員が受け取ったとして検察が起訴した賄賂は総額760万円相当。全て贈賄側の中国企業「500ドットコム」が関連したもので①17年9月に講演料名目で200万円②同月28日の衆院解散当日に渡された現金300万円③同年12月の中国への旅費など約182万円相当④18年2月の北海道留寿都村への旅費など約76万円相当――と4件にわたる。
検察側は冒頭陳述で、IRを所管する副内閣府相だった秋元議員が、ドットコム社に便宜を図る見返りに賄賂を受け取ったと指摘した。これに対し、弁護側は②については現金の授受そのものがなかったとし、①③④も賄賂ではなかったなどと主張。「事件は検察が作り上げたフィクションだ」と訴えた。
贈賄側は4人が起訴されたが、秋元議員の初公判を前に全員の有罪判決が確定。いずれも300万円の提供や、講演料が賄賂だったことなどを大筋で認めた。秋元議員が無罪を獲得するためには、こうした贈賄側の供述の信用性を崩さなければならない。
「贈賄メモ」に国会議員の名前が次々
公判は4月上旬から中旬にかけ、①~④の全てに関わった贈賄側のキーマン2人が検察側証人として出廷した。いずれもドットコム社の元顧問で、「元顧問A」は沖縄県浦添市議などを務めた経歴を持ち、「元顧問B」は選挙コンサルタントとして国政選挙に関わった経験があった。ともに49歳で、大学時代から知り合いだった2人は、ドットコム社が日本法人を設立した17年に顧問に就任。政界への窓口役を担うようになった。
「選挙にはお金がかかる。…
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