連載

社説

社説は日々、論説委員が議論を交わして練り上げます。出来事のふり返りにも活用してください。

連載一覧

社説

地方議会とオンライン 本会議開催の解禁検討を

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷

 新型コロナウイルスの感染対策として、地方議会でオンラインを活用する動きが出ている。議員が自宅などから参加する方式で委員会を開催したケースもある。

 緊急時に議会の機能を維持するため、デジタル化は有力な手段となる。国も法制の見直しなどを柔軟に進め、地方の取り組みを後押しする必要がある。

 オンラインを積極活用している代表格は、茨城県取手市議会だ。最初の緊急事態宣言が出た昨春から、ウェブ会議で議員が自宅などから参加する会合を重ねた。

 全議員にタブレットを貸与し、昨年11月からは委員会の一部をオンラインで開催している。議事録に記載される正式な会議だ。画面に表示されたボタンを使い、議場外から「リモート採決」を実施することも検討している。

 総務省は昨春、オンラインによる委員会開催を容認し、自治体に通知した。だが、本会議を開くことまでは認めていない。

 地方自治法は地方議会の「会議」について「半数以上の議員による出席」が必要だと定める。この「会議」は本会議を指し、「出席」は本人が議場に実際にいることだと解釈しているためだ。

 確かに議会の最終意思を決める本会議ではセキュリティー対策や本人確認など、公正さを損なわない一層の注意が必要だ。だが、取手市のオンライン委員会を見る限り運営は安定している。

 地方議会では昨年、コロナ下で質疑を省略したり、議会承認を経ず首長が専決処分をしたりするケースが相次いだ。いざという時に機能しなくては、存在意義が問われかねない。まずは緊急時から、本会議開催も解禁してはどうか。

 国会に関しては、憲法に議員出席を求める条項がある。両院規則は本人が議場にいなければ表決に加われないと定めるが、柔軟な運用を求める声もある。

 国会に先行して地方議会のオンライン本会議を認めれば、災害時の対応や産休中の女性議員の表決への参加など、議会の可能性を広げる契機になる。

 オンライン化で遠隔地からの議論参加が容易になれば、地方議員のなり手不足対策にも有効だろう。地方自治法改正を含め、議論を進める時である。

あわせて読みたい

この記事の特集・連載
すべて見る

ニュース特集