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3道県に一転宣言発令 政府の機能不全あらわに

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 新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、緊急事態宣言の対象地域に北海道と岡山、広島両県が追加されることが決まった。

 政府は当初、より緩やかな「まん延防止等重点措置」にとどめようとしたが、専門家が覆した。異例の展開だ。

 3道県では新規感染者数が急増し、医療体制も逼迫(ひっぱく)している。政府の分科会では、変異株の広がりを危惧する専門家から、まん延防止措置では不十分だとの意見が相次いだ。変異株の脅威を政府が甘く見ていたことが露呈した。

 大阪府の第4波では、まん延防止措置では変異株を抑えきれないことが明らかになったはずだ。

 にもかかわらず、政府はこの教訓を生かせなかった。機能不全に陥っているのではないか。

 判断ミスは今回に限らない。第3波でも経済活動への影響に配慮するあまり、対策を小出しにした。その結果、年末年始に感染が急拡大した。

 専門家の危機意識が菅義偉首相に十分に伝わらず、政府の反応が鈍い点も変わっていない。

 まん延防止措置が9日から適用された北海道では、札幌市の人口10万人あたりの新規感染者数が大阪府を上回る水準に達している。手をこまぬいていた政府の責任は重い。

 緊急事態宣言下では、休業の要請や命令が可能になる。専門家は人出の抑制が重要だと強調している。政府は自治体と連携し、効果的な対策を打ち出す必要がある。

 国民の自粛疲れが強まる中、宣言の効果が薄れてきているとの指摘もある。国民の協力を得るには、政府の明確なメッセージが欠かせない。

 3道県への宣言発令は、住民や事業者にとって寝耳に水の事態だ。政府は経過を丁寧に説明すべきだろう。

 感染は他の地方でも拡大しており、全国知事会は迅速な対応を要望している。政府は自治体や専門家の意見に耳を傾け、対策の強化をためらってはならない。

 政府はワクチンを感染対策の切り札としているが、高齢者への接種が終わるまで数カ月かかる。それまでの間、国民の命をどう守るのか。実効性ある戦略を早急に示すことが求められている。

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