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岩間陽子・評 『グローバル・ヒストリーとしての独仏戦争』『グローバル・ヒストリー 批判的歴史叙述のために』

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『グローバル・ヒストリーとしての独仏戦争 ビスマルク外交を海から捉えなおす』
『グローバル・ヒストリーとしての独仏戦争 ビスマルク外交を海から捉えなおす』

 ◆『グローバル・ヒストリーとしての独仏戦争』 飯田洋介・著(NHK出版・1650円)

 ◆『グローバル・ヒストリー 批判的歴史叙述のために』 ゼバスティアン・コンラート著、小田原琳・訳(岩波書店・3190円)

「欧米中心」脱して 「海」の視座から見る

 歴史とは何だろう。しばしば引用されるのはE・H・カーの「現在と過去との絶え間ない対話」という表現だが、これとて「誰が」「何を」見て対話するのかによって話が変わってくる。これまでの歴史、特に近代史とされてきたものが、あまりに欧米中心であったということが近年強く意識されるようになり、「グローバル・ヒストリー」という言葉が頻繁に使われるようになった。

 飯田洋介氏の『グローバル・ヒストリーとしての独仏戦争』も、その流れの中での労作の一つである。ドイツ統一を達成した一八七〇―七一年の独仏戦争は、通常大モルトケ率いるドイツ陸軍の圧倒的な強さばかりが語り継がれている。しかし飯田氏は、この戦争に海の側面があり、それは極東を含むグローバルな戦いであり、ここでは実はフランスが圧倒的に強く、ビスマルク外交は全く成果を上げることができず、その過程でビスマルクが…

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