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反マスク、反ワクチン…取材して恐怖 陰謀論者の思考とは/前編

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「ワクチンを打つと政府に監視される」などと主張する陰謀論者もいる(写真はイメージです)=ゲッティ
「ワクチンを打つと政府に監視される」などと主張する陰謀論者もいる(写真はイメージです)=ゲッティ

 新型コロナウイルスの存在を信じず、マスク着用やワクチン接種を拒否し、それを他人にも求める人たちがいる。ゴールデンウイークにマスクを着けず屋外でピクニックを楽しもうと呼びかけられた「全国同時ノーマスクピクニックデー」は猛批判を浴び、ほぼ中止に追い込まれた。感染拡大の第4波のさなかになぜそんなことを、と思った人も多いのではないだろうか。大勢の命を危険にさらす可能性があるのに、一体なぜ? 彼らは何を考えているのだろう。その思考に分け入ってみた。前編、後編に分けてお伝えする。【國枝すみれ/デジタル報道センター】

ワクチン反対派集会に参加してみた

 東京など4都府県に緊急事態宣言の発令が決まった4月23日の夜、東京都江東区文化センターで「ドイツのワクチン禍 真実ドキュメント上映会」が開かれ、ワクチン接種に反対するユーチューバーの日本人女性がオンライン出演した。彼女はワクチン反対派のアイドル的存在で、ドイツから発信している。

 私は3500円の入場料を払い、参加した。会場には約500人、ほぼ満席だ。目の前の男性も、斜め後ろの女性もマスクをしていない。

 「この座席にはお座りいただけません」。ソーシャルディスタンスの確保を促すため座席に置かれた表示を無視して私の隣の席に座った女性は、マスクを外した。ぞっとして、鳥肌が立った。上映会を主催した男性が「(会場から)出入り禁止になると困るので、マスクを着けてください」と呼びかけ、多くの人がしぶしぶマスクを着けたが、それでも1、2割の人は着けなかった。

 「もしこの会場でクラスター(感染者集団)が発生したら、責任を感じないですか?」。マスクを着けていない若い男性に、会場前で聞いてみた。すると、こう答えた。「怖いなら来なければいいと思います。だいたいマスクをしていたら、感染は防げるのですか?」

 上映されたドキュメンタリーは、ドイツの高齢者ホームでワクチン接種から25日間で入居者13人が亡くなったという情報を友人から聞いた心理療法士のドイツ人女性を中心に進行する。この女性は市役所に真相究明を要請しにいく際、マスクを着けていない。カメラマンも着けていない。彼ら自身がワクチンを危険視するワクチン反対派で、ドキュメンタリーはプロパガンダなのだろう。ワクチン反対派はコロナの存在を信じないので、マスクを着ける必要性も否定することが多いのだ。

 なぜ、これでワクチンは危険だという結論を導けるのだろうか? 上映会が終わって、首をかしげた。ドキュメンタリーは、入居者の1人がワクチン接種の3日後にPCR検査で陽性となり、その後、陽性者が次々と増えていった、と伝える。相次いだ高齢者の死の原因はワクチンではなく、入居者がワクチン接種の前後に感染し、集団感染が起きたからと考えるのが普通だろう。

 しかし、会場の雰囲気は違った。のっけから主催者は…

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