長年の規制放置、国を断罪 救済に道筋 建設アスベスト最高裁判決

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
建設アスベスト訴訟の支援者らが集まり開かれた判決報告集会=東京都千代田区で2021年5月17日午後4時54分、小川昌宏撮影
建設アスベスト訴訟の支援者らが集まり開かれた判決報告集会=東京都千代田区で2021年5月17日午後4時54分、小川昌宏撮影

 建設アスベスト(石綿)訴訟の17日の最高裁判決は、長年にわたって規制を怠った国の責任を断罪し、被害救済に道筋をつけた。健康被害を訴える人は今後も増えるとの予測もあり、政府は早急な和解を迫られる事態となった。

一人親方も対象 実態に即し判断 弁護団「画期的」

 「国の責任を認め、画期的な内容だ」。判決後の報告集会で、弁護団は強調した。

 公害を巡って国が規制権限を行使しなかった責任が争われた訴訟では、炭鉱労働者らが訴えた「筑豊じん肺訴訟」の最高裁判決(2004年)が「規制権限はできる限り速やかに、技術の進歩や医学的知見に合わせて適時、適切に行使されるべきだ」と判断。小法廷は今回、この判例に従い、石綿に対する国の規制権限の行使が適切だったかどうかを判断した。

 判決が最も重視したのは、国とメーカーが経済発展を優先するあまり、健康への影響を過小評価した点だ。石綿の危険性は1960年代には世界で指摘され始め、欧州では80年代以降、規制が進められた。しかし、日本では安価で耐火性に優れた石綿は、断熱材として広く建材に使われた。

 建設現場では大工や左官、電気工など複数の職種が混在。作業員の雇用形態がさまざまだったこともあり、現場の事業主やメーカーが積極的に対策に乗り出すことはなかった。建材には石綿を含んでいるとの表示すらなく、多くの作業員が危険性を意識しないまま石綿を吸い込んでいた。

 判決はこうした当時の状況を詳細に検討した。72年には石綿の発がん性などが明らかになりつつあり、建設現場での石綿の吹き付け作業が原則禁止された75年10月の時点で、事業者に防じんマスク着用を義務付けなかったなどの国の対応は「著しく合理性を欠き、違法」と厳しく批判。規制権限の不行使は石綿の使用が原則禁止となる04年9月末まで続き、「国は指導監督を怠った」と認定した。

 判決は「一人親方」と呼ばれる個人事業主らへの国の責任も認…

この記事は有料記事です。

残り2267文字(全文3070文字)

あわせて読みたい

この記事の筆者
すべて見る

注目の特集