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大規模接種の予約開始 見切り発車の不備が露呈

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 新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターの予約受け付けが始まった。センターは、防衛省が東京と大阪に設置する。

 自治体での接種が進まない中、菅義偉首相が先月末に防衛省に設置を指示した。十分な準備期間がないままの見切り発車となった。

 その結果、初日からシステムの不備が露呈した。自治体が送付した接種券に記載されていない架空の番号を入力しても予約ができてしまうという問題だ。

 予約は、インターネットと無料通信アプリ「LINE(ライン)」で受け付けている。だが、自治体のシステムと連携していないため、架空の申し込みをはじくことができない。

 接種の際には、接種券や本人確認書類と照合するため、架空の申込者は接種を受けられないと防衛省は説明している。

 しかし、架空の予約が殺到すれば、対象の高齢者にしわ寄せが及びかねない。大量の予約がキャンセルされ、円滑に接種が進まなくなる恐れもある。

 大規模接種の予約システムは、自治体との二重予約を防ぐことができないと指摘されていた。

 本来ならシステムの改修が必要な不備だ。日程的に難しいのであれば、大量のキャンセルが生じても、ワクチンを有効に活用できる仕組みを作らなければならない。

 使用するワクチンは、自治体が接種しているファイザー製ではなく、近く承認される見通しのモデルナ製となる予定だ。既に自治体で接種を受けた人は対象外であることも周知しなければならない。

 首相は高齢者接種を7月に終えるため「1日100万回接種」との目標を示している。ただ、センターで接種できるのは合計で1日最大1万5000人にすぎない。

 接種の主体はあくまで自治体だ。思うように進まない背景には、予診や接種、副反応への対応にあたる医療従事者を確保する難しさがある。政府は実態を把握し、きめ細かく支援すべきだ。

 当初は供給時期も不透明だったワクチンだが、全ての高齢者約3600万人に2回接種できる量は6月末までに確保できるという。

 政府は正確な情報を発信して不安を拭い、接種が着実に進むよう全力をあげなければならない。

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