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入管・難民問題

国外退去処分になった外国人の入国管理施設での扱いが注目を集めています。難⺠に厳しいと言われる日本。人権は守られている︖

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入管法の改正見送り 人権重視の制度が必要だ

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 非正規滞在となった外国人の帰国を徹底させる入管法改正案について、政府・与党が今国会での成立を断念した。

 各種世論調査で菅内閣の支持率が下がる中、採決を強行するのは困難だと判断した。廃案となる見通しだ。

 当然の対応である。改正案には人権上の問題が多く、国内外から批判の声が上がっていた。

 政府は、国外退去処分を受けた人が帰国を拒み、入管施設に長期間収容される状況の解消が法改正の目的だと説明していた。

 しかし、難民認定申請を事実上2回までに制限し、退去命令に従わない際の罰則を設ける内容だ。帰国できない事情がある人への配慮に欠けていた。

 政府は、国際水準に沿った形で入管法の改正案をつくり直す必要がある。

 日本の入管制度には、問題点が多い。

 昨年6月末時点で入管施設に527人が収容され、うち232人は半年以上が経過している。

 収容は入管当局だけで決められる。期間の制限もなく、国連の人権部門などが繰り返し懸念を表明してきた。

 金銭的に困窮したり、労働環境が劣悪だったりして在留資格を失うケースもある。非正規滞在になっても一定の条件の下、社会で生活できる仕組みが欠かせない。

 世界的に見て厳しい難民認定も見直すべきだ。審査基準が明確に示されていないことが問題だ。

 野党は、難民認定の権限を法相から独立組織に移し、収容に裁判所の許可を義務づける対案を出していた。参考にすべきだろう。

 国会審議では、名古屋市の入管施設に半年あまり収容されていたスリランカ人女性が死亡した経緯が問題視された。

 施設内で体調が悪化したにもかかわらず、必要な医療を受けられなかった疑いが出ている。

 入管当局の対応が適切だったかどうか検証することは、入管制度を考えるうえで重要だ。政府には真相を解明する責任がある。

 非正規滞在者が生まれる背景には、外国人を労働力の調整弁として受け入れてきた政策がある。人権を尊重した抜本的な制度改正が求められる。

【入管・難民問題】

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