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貧しい国の命は軽いのか コロナワクチン「公共財」になる日は

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ワクチン接種の準備をするフランスの医療従事者。コロナとの闘いは続く=仏西部ナントで3月18日、ロイター
ワクチン接種の準備をするフランスの医療従事者。コロナとの闘いは続く=仏西部ナントで3月18日、ロイター

 新型コロナウイルスのワクチンを接種できる国と、そうでない国。命に直結するワクチン格差が世界で深刻化する中、バイデン米政権が途上国が訴えていたワクチン特許の一時放棄の提案を支持すると表明した。しかし、欧州を中心とする先進諸国と製薬業界はこれに反発。コロナとの闘いに不可欠なワクチンが「世界の公共財」になる日は来るのか。

ワクチン接種率、米英が突出

 ワクチン接種は一部の先進諸国で本格化している。英オックスフォード大の研究者らが作るデータベースによると、5月13日時点で1回以上の接種を終えた人の割合(総人口比)は英国で53・2%、米国で46・23%、ドイツで35・7%。これに対し、途上国ではインド10・08%、南アフリカ0・77%など、先進国とは大きな差がある。

 ワクチンが広く行き渡るのはいつになるのか。英誌エコノミストの調査部門「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)」は1月、成人人口の6~7割がワクチン接種を終えた状態になる時期を予測。それによると、米国や欧州連合(EU)諸国では「2021年末」だが、アフリカ諸国を中心に85以上の途上国では「23年以降」になるとの厳しい見方を示している。

 格差の解消に動いたのがインドと南アフリカ。昨年10月、世界貿易機関(WTO)に対し、特許権などの知的財産権の保護を義務づけるルールを一時的に放棄することを提案した。特許権を放棄すれば多くの国で安価にジェネリックのワクチンを量産することが可能になり、公平なワクチン供給につながるという考えだ。しかし、大手製薬会社を抱える米国や欧州などの先進国は反発。特許の保護で企業利益を確保することが研究開発を後押しすると主張し、インドと南アの提案を巡る議論は平行線をたどっていた。

途上国に賛同した米国の思惑

 先進国VS途上国――。この対立構図が一変したのが今月5日。…

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