アレルギー治療の最前線 苦しむ子ども減らせるか

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経口免疫療法で使われる卵入りの蒸しパン。卵のにおいや味が嫌いな子もいて、卵とわからないように工夫している。経口免疫療法ではおいしく食べることも大切だ=国立成育医療研究センターの山本貴和子・総合アレルギー科医長提供
経口免疫療法で使われる卵入りの蒸しパン。卵のにおいや味が嫌いな子もいて、卵とわからないように工夫している。経口免疫療法ではおいしく食べることも大切だ=国立成育医療研究センターの山本貴和子・総合アレルギー科医長提供

 卵や牛乳、小麦など特定の食品を食べるとじんましんなどを発症し、重症の場合は命に関わることもある食物アレルギー。原因となる食物を完全に取り除くのではなく、専門医の指導のもとで少量摂取する「食べる治療」で早期に改善できるほか、乳児期に肌を適切にケアすることで発症自体を予防できることが、最近の研究で分かってきた。将来、食物アレルギーに苦しむ子どもを大幅に減らすことは可能なのか。治療や予防の研究の最前線を取材した。【渡辺諒/科学環境部】

研究成果の蓄積進む「経口免疫療法」

 食物アレルギーは、食べた直後にじんましんやかゆみなどの症状が出るケースが多い。文部科学省が2013年度に公立の小中高校を対象に実施した実態調査によると、小中高生の4~5%に食物アレルギーがあるとされる。少し食べただけでも、命に関わる呼吸困難や血圧低下などの重い症状を起こす事例もあり、かつては、アレルギーを引き起こす食物を一切口にしない「完全除去」が一般的な対処法だった。

 しかし、原因になる食物を専門医の管理下で少量摂取することで、体に表れる反応が抑えられるとの学説が07年に国内の学会で発表され、注目を集めた。この「経口免疫療法」は、アレルギーの原因となる食物を食べ続けるとアレルギー反応を抑える免疫細胞が形成される、人体のメカニズムを応用したものだ。現在は主に、安全性と有効性を確かめる臨床研究として行われており、近年、このメカニズムを利用した治療法や予防法の効果が科学的に確認され、有効性を示す根拠が蓄積されつつある。

 例えば、国立成育医療研究センターが21年1月に国際小児科学専門誌で発表した研究だ。2歳ま…

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