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世界時空旅行

 欧州や中東の特派員を務めた筆者が「時空の旅」に出て、歴史の謎やミステリーに迫ります(登場する人物の肩書きなどは原則として取材当時のものです)。

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「ハーメルンの笛吹き男」史実の先へ メルヘンの国、子供たちはなぜ消えた

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ハーメルンの夏の野外劇。笛吹き男役の男性がネズミに扮(ふん)した子供たちを引き連れ、市内を練り歩く=ドイツ西部ハーメルンで2012年8月、篠田航一撮影
ハーメルンの夏の野外劇。笛吹き男役の男性がネズミに扮(ふん)した子供たちを引き連れ、市内を練り歩く=ドイツ西部ハーメルンで2012年8月、篠田航一撮影

 メルヘンの国・ドイツの童話は残酷だ。「ヘンゼルとグレーテル」の魔女は最後にかまで焼き殺される。「赤ずきん」ではオオカミがおなかに石を詰められて死ぬ。日本では子供向けにやさしく改変されているものもあるが、本場ドイツの物語は容赦ない描写であふれている。

領主による生き埋め? 移住? 新説次々と

 こうした童話や民間伝承の中で、少し異質の怖さを感じさせる話がある。それが「ハーメルンの笛吹き男」だ。グリム兄弟の「ドイツ伝説集」(「童話集」とは別作品)の中にも収められている民間伝承で、ハーメルンに現れた1人の男が多くの子供たちをどこかへ連れ去ったという内容だ。

 実はこの話、ほぼ史実とみられている。ハーメルン市の記録文書には長年、「1284年、130人の子供たちが笛吹き男に連れ去られ、コッペンで消えた」との記述が残っていたことをグリム兄弟が紹介しているのだ。この「コッペン」については後述する。

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