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道頓堀のカキ船 /大阪

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道頓堀の河岸に浮かぶカキ船。両岸の埋め立てで立ち退きを迫られていた=1966年5月16日撮影
道頓堀の河岸に浮かぶカキ船。両岸の埋め立てで立ち退きを迫られていた=1966年5月16日撮影

 大阪のカキ船は冬の風物詩だった。カキがおいしい季節になると、広島から船で来て商売をしたという。

 1966(昭和41)年5月21日の毎日新聞大阪本社版の朝刊に、道頓堀のカキ船の記事が載った。カキ船の最盛期は大正末期から昭和の初めで、大阪市内の河川に40から50隻もあったという。芝居見物などの帰りに立ち寄り、色とりどりの照明の下で杯を重ねる風情は浪速の名物だった。

 戦後、市内の運河が埋め立てられるとカキ船も減少。かつてを知らない若い世代には、住宅難に追われてやむなく川で営業していると見えたようだ。道頓堀の両岸を埋めて緑地帯を造る計画があがると、カキ船の処遇が問題になった。工事を進める大阪市とカキ船の組合との移転補償金交渉は曲折が続きそうだと書かれている。江戸時代から親しまれたカキ船の風情も、近代化の波間に消え去るしかないようだと記事は締めくくっている。

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