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愛知リコール不正

愛知県知事の解職請求(リコール)を目指した運動。署名偽造に関与した疑いで、活動団体事務局長らが逮捕されました。

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愛知リコール不正事件 組織的関与の解明が必須

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 愛知県の大村秀章知事の解職請求(リコール)を巡り、運動団体の事務局長ら4人が逮捕された。署名を偽造したとして、地方自治法違反の疑いが持たれている。

 リコールは選挙で選ばれた首長を解職する制度だ。容疑が事実とすれば、地方自治を支える直接民主制を揺るがす重大な事態だ。

 署名の一部は、アルバイトが佐賀市内で代筆していたとされる。事務局長の田中孝博容疑者が、名古屋市の広告関連会社を通じて行わせた疑いがある。

 アルバイト集めの発注書には、約470万円の費用が記載されているという。金銭を払って署名を偽造させたのなら極めて悪質であり、資金の出所も究明すべきだ。

 代筆には原本が必要で、何らかの名簿が使われたとみられる。どんな書類が悪用されたのか、明らかにすることが欠かせない。

 愛知県選挙管理委員会は、提出された署名の83%に当たる約36万人分を無効と判断した。似た筆跡が多数あり、有権者ではない人や死亡した人も含まれていた。

 大規模な不正であり、組織ぐるみの関与が疑われる。誰がどんな意図で主導し、どのような指揮系統で実行されたのか。愛知県警は徹底した捜査で、真相を解明しなければならない。

 リコール運動は、芸術祭「あいちトリエンナーレ」を巡る大村氏の対応を問題視して始まった。

 運動団体の会長で美容外科医の高須克弥氏は、不正への関与を否定しているが、運動の実態について具体的に説明すべきだ。

 名古屋市の河村たかし市長は、応援団を自任していた。かつて主導した市議会解散請求で署名集めを担った人の名簿を運動団体に提供しており、責任は免れない。

 田中容疑者はリコール運動当時、日本維新の会の衆院選候補予定者だった。他にも地方議員が運動に関わっており、党として調査を尽くす必要がある。

 今回のように署名が偽造されるケースは、リコール制度が想定していないものだ。愛知県選管は事件を受け、署名集めのルール厳格化を総務省に提言している。

 住民が地方行政を監視する制度の信頼性が損なわれてはならない。そのためにも、事件の全容が明らかにされる必要がある。

【愛知リコール不正】

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