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無名の非エリート大学が8強に 宮崎産業経営大野球部のぶれぬ心

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ノックを受ける宮崎産業経営大の選手たち。練習着代の負担を減らすため、高校時代のユニホーム着用を認めている=宮崎市で2021年2月22日午後0時5分、黒澤敬太郎撮影
ノックを受ける宮崎産業経営大の選手たち。練習着代の負担を減らすため、高校時代のユニホーム着用を認めている=宮崎市で2021年2月22日午後0時5分、黒澤敬太郎撮影

 全国的には無名ながら、大学野球日本一を決める大会で3年前に旋風を巻き起こした宮崎産業経営大(宮崎市)の練習を訪ねた。今や全学生の10人に1人、約100人が野球部員の大所帯だが、当初はギリギリの9人をかき集めたという。その成長過程から、他とは一線を画すような信念を感じる。創部時から率いて35年目の三輪正和監督(57)は言う。「野球部を出ただけでは何も残らないよ」

 シートノックでは、各ポジションに順番待ちの行列ができていた。1、2軍などに分けておらず、全員にチャンスを平等に与えるためという。高校時代のユニホーム姿の選手もいる。少しでも練習着代を節約するため、着用を認めているのだ。誰一人としてボールから目をそらさず、一つ一つのプレーにグラウンド中の視線が集まる。好守備への歓声、ミスへの叱咤(しった)。ボールが飛ぶ度にボルテージは高まる。

ゼロからスタート、何とか9人集め…

 プロ野球の春季キャンプ地として知られる温暖な気候の宮崎で1987年に開学した宮崎産業経営大は、法学部と経営学部の2学部がある。現在の学生数は約1000人。開学と同時に誕生した野球部は九州地区大学連盟に所属する。全国での活躍で部員数は増え、今年度は4月時点で106人と強豪大学と遜色なくなったが、最初はゼロからのスタートだった。

 部員の大半は地元出身で、県外から来ても鹿児島、熊本など隣県くらい。有望選手は関東や福岡などの大学へ進み、集まるのは県立高校の主力級や、強豪私立高校でベンチ入りできるかどうかのメンバーだ。プロ野球や社会人野球を目指すような「野球エリート」は、ほぼおらず、入部テストはなく希望者全員に門戸を開いている。

 地元の非エリートたちを育て、独自の価値観を大切にしながら全国へと導いた三輪監督は「皆さん、うちの環境を見たら驚かれますよ。ここから全国大会に出たのかって」と笑う。

 三輪監督は宮崎・日向学院高から東京六大学の立教大に進み、守りでは中堅手、打線では2学年下でプロ野球のヤクルト、巨人でもプレーした長嶋一茂さん(55)と中軸を担った。在学中から夢は指導者。恩師の紹介で宮崎産業経営大に採用され、野球部監督に就任した。とはいえ「部員はいないのに監督だけ決まっていた状態」(三輪監督)。自らキャンパスを歩き、体格のいい学生に「良い体してるね。…

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