演劇 新ロイヤル大衆舎×KAAT 「王将」-三部作- はまり役の福田が情味濃く=評・濱田元子

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 大阪の天才将棋指し、坂田三吉の激烈な生きざまを、周囲の人々とのかかわりの中で情濃く描いた北條秀司の代表作。長塚圭史の演出・構成台本による再びの3部作一挙上演が好舞台となっている。

 明治後期から昭和の敗戦後まで、激動の時代が背景だ。

 大阪で素人名人と言われた三吉(福田転球)。「銀が泣いている」の名せりふで知られる、東京の関根八段(長塚圭史)との対決や、三吉を「関西名人」に担ぎ上げ東京の連盟に対抗しようとする周囲の思惑、そして孤立。勝負の世界を軸に、三吉を支える妻小春(常盤貴子)や後援者の宮田(山内圭哉)、娘玉江(江口のりこ)らが絡み合う、重層的な人間ドラマが引き付ける。

 4年前の東京・下北沢の小空間での初演も面白く見せたが、今回は劇場アトリウムに将棋の駒をあしらった大漁旗を巡らせ、芝居小屋の空間を作ったアイデアが利く(堀尾幸男美術)。俳優が発する熱がじかに伝わり、長屋の親密な空気感を醸し出す。

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