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高橋智史が撮る故郷・秋田

「第38回土門拳賞」受賞者のフォトジャーナリスト・高橋智史氏が撮影した、故郷・秋田をテーマにした作品を紹介します。

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高橋智史が撮る故郷・秋田

受け継がれしものたち 紡がれる願い 男鹿・真山の万体仏 /秋田

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壁面を埋め尽くすように安置されている地蔵菩薩=秋田県男鹿市で2021年4月撮影
壁面を埋め尽くすように安置されている地蔵菩薩=秋田県男鹿市で2021年4月撮影

 伝承が残るお堂の中は、静謐(せいひつ)な情調に満ちていた。

 約300年前の江戸中期、普明(ふみょう)という仏教僧が、幼くして落命した多くの子どもたちと愛弟子の供養を願い、お堂を建てた。そして、彼らの魂を救うために1万2000体以上の地蔵菩薩を彫り、安置した。それはいつしか、「真山(しんざん)の万体仏(まんたいぶつ)」と呼ばれるようになった。

 身命を賭した普明の意志と万体仏の伝承は、地域に根差して連綿と受け継がれ、人々の信仰を集めてきた。子どもの病気が治るように、または命を落とさぬように願いを込め、紙片や、無病息災の護符とされるナマハゲが纏(まと)うケデから落ちた稲わらが結ばれた地蔵菩薩もある。

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