- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

<特別展・錦絵(ビジュアル)に見る明治時代>
文明開化を象徴、格好の画題に
本展は2部構成となっており、今回の連載からは第2部「文明開化と錦絵」の展示内容を紹介する。洋風建築などの登場で変貌を遂げた東京の街並みを描いた風景画や、多色摺りの木版画である錦絵特有の彫りや摺りの技術を凝らした作品、明治天皇と政府の高官をはじめさまざまなジャンルの人物たちを集めた群像表現、今ではその名をあまり知られることのない絵師の作品に注目するなど、明治の錦絵を多角的に掘り下げた盛りだくさんの構成となっている。
今回紹介するのは、1872(明治5)年に完成した和洋折衷の奇抜なデザインの建物「海運橋三井組」だ。現在の東京都中央区日本橋兜町の一角に、のちに三井財閥へと発展する三井組の銀行として建設が進められていたが、完成直後に国立銀行条例に基づき三井と渋沢栄一(1840~1931年)らが設立した日本初の銀行「第一国立銀行」へ譲渡され、1898年まで使用された。文明開化を象徴するこの建物は、格好の画題となり、…
この記事は有料記事です。
残り898文字(全文1344文字)