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政治学者、PTA会長になる!

2児のパパでもある政治学者が、ひょんなことから小学校のPTA校長に。「ええい、PTAを変えてやる!」という意気込みは、しかし、幾重もの壁に阻まれる。3年間の山あり谷ありから見えてきた「地べた目線の民主主義」とは?

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政治学者、PTA会長になる!

/1 強制に義憤「魔界」参戦 「委員決め」は罰ゲーム、子供の運動会も断念

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岡田憲治・専修大学教授=丸山博撮影
岡田憲治・専修大学教授=丸山博撮影

「民主主義の学校」どこへ

 PTAの役員・委員決めは罰ゲームのようだ。くじ引き、一人一役、ポイント制……。希望者がほとんどいない現実に「PTAってそもそも必要?」という声も上がる。ところが、政治学者で専修大教授の岡田憲治さん(58)は東京都内の区立小学校で、3年間もPTA会長を務めたという。もし、政治学者がPTA会長になったら――。その体験から見えてきたものは何だったのか。【小国綾子】

 「みなさん、こんにちは。PTA会長の岡田です」。岡田さんの2人の子どもが通う小学校では学年最初の保護者会が開かれていた。岡田さんはPTA会長として小学1~3年の全クラスを回り、保護者たちに呼びかけた。

 「これからPTAの委員決めをします。でも、絶対に生活を犠牲にしないでください。PTAは生活の延長です。お子さんの体が弱いとか、親御さんの介護中だとか、そんな時はやらないでいいですから」

 あえて真っ赤な広島カープのユニホームを着込んだのは、「保護者たちを緊張させないため」だ。「PTAは第一印象が大事。でも保護者にとってPTAとの最初の出合いは『委員決め』。第一印象は最悪。ここをなんとかしたくて」

 そう。学年最初の保護者会といえば「PTAの委員決め」の日だ。「一人一役」「問答無用の全員くじ引き」「ポイント制」「必ず1回は委員を」など、公平性を追求するほどルールは複雑になり、保護者たちの受けるプレッシャーはますます大きくなる。

 だからあえて、岡田さんは保護者たちに念押しした。「決まらなかったら仕方ない。決まった人数でやるのがPTAです。司会の方もどうか『決まらないと全員帰れません』などと脅さないでくださいね」

 PTA会長として2度目の春。2019年4月の出来事だった。

    ◇

 そもそも、政治学者が我が子の小学校のPTA会長を3年間も務めたのは、なぜなのか。時は、17年晩秋にさかのぼる。

 ある日、…

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