改正温対法が成立 温室ガス「50年排出実質ゼロ」目標を初明記

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国会議事堂=川田雅浩撮影 拡大
国会議事堂=川田雅浩撮影

 2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする目標が盛り込まれた改正地球温暖化対策推進法(温対法)が26日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。日本で削減目標が法律に明記されるのは初めて。政権交代などによる目標の後退を難しくし、政策の継続性を高める狙いがある。

 改正法では、基本理念として「50年までの脱炭素社会の実現」を明記。これまでは国の温暖化対策計画で、排出削減の長期目標を「50年までに13年度比80%減」と記載していたものの、温対法の条文自体には目標記載がなかった。

 菅義偉首相が20年10月、「50年排出実質ゼロ」を宣言したことを踏まえ、国として新たな目標を達成する姿勢を法律で明確化した。「産業革命前からの世界の平均気温の上昇幅を2度未満、できれば1・5度に抑える」という気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」の目標も盛り込まれた。

 地域での脱炭素化に向けた取り組みを加速させるため、都道府県や政令指定都市などが温対法に基づいて策定する実行計画の中で、再生可能エネルギー導入などの目標を設定することが義務付けられた。また、市町村が、再生エネ施設を積極的に誘致する「促進区域」を設定することが努力義務とされた。

 再生エネ施設建設を巡っては、景観悪化や騒音に起因する周辺住民と事業者のトラブルが各地で多発している。トラブルを回避して再生エネ導入を進めるため、改正法には、周辺住民との合意の上で、市町村が優良な事業計画と認定した場合は、環境影響評価(環境アセスメント)の手続きを一部簡素化する仕組みも盛り込まれた。

 環境省によると、「50年排出実質ゼロ」を掲げる自治体は389(24日現在)に上り、人口規模では約1億1000万人を超える。だが、気候変動対策に関して専門性のある職員が少なく、実効性のある計画策定などのための人材育成が課題となっている。【鈴木理之】

改正地球温暖化対策推進法のポイントは次の通り。

・基本理念に「2050年までの脱炭素社会の実現」を明記

・自治体が促進区域を設け、再生可能エネルギー普及と地域活性化につなげる「地域脱炭素化促進事業」を創設

・促進区域は環境保全に配慮し、住民の意見を踏まえて設定

・地域貢献策などの要件を参入事業者が満たせば手続きを簡素化

・都道府県などがつくる計画に再生エネ導入目標を盛り込む

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