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日本ではゲームといえばテレビやスマホがメインですが、近年、対面で行う非電源ゲームも注目を集めています。人気のボードゲーム・カードゲームを紹介します。

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「マルコポーロの旅路」 サイコロ配置で大陸横断

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ワーカープレースメント④

サイコロをワーカーとして使用し、ベネチアから大都(北京)を目指す「マルコポーロの旅路」 拡大
サイコロをワーカーとして使用し、ベネチアから大都(北京)を目指す「マルコポーロの旅路」

 引き続きワーカープレースメント(労働者を配置してアクションを実行するメカニクス)の紹介です。今回は、サイコロ(ダイス)がワーカーの役目を果たすので「ダイスプレースメント」とも呼ばれる2作品を。

東方見聞録の世界観

広大なユーラシア大陸をラクダやコインを使って左上のベネチアから右上の大都(北京)まで旅を続ける 拡大
広大なユーラシア大陸をラクダやコインを使って左上のベネチアから右上の大都(北京)まで旅を続ける

 日本を黄金の国・ジパングとして紹介した著名な旅行記「東方見聞録」。口述したマルコ・ポーロ(1254年ごろ~1324年)の足取りをたどるのが「マルコポーロの旅路」です。プレーヤーはマルコあるいは同時代に活躍した人物となり、ベネチアから元の首都・大都(北京)に向け旅をします。交易商人として依頼を達成したり、特定の都市を踏破したりすることでも勝利点が得られます。

市場のアクションスペースにサイコロを置けば商品がもらえる。絹織物は2個の配置が必要で、少ない方の4の出目を参照し、3個もらえた 拡大
市場のアクションスペースにサイコロを置けば商品がもらえる。絹織物は2個の配置が必要で、少ない方の4の出目を参照し、3個もらえた
依頼を獲得するアクションスペース。依頼は左の資源を払えば右側のコインや勝利点がもらえる 拡大
依頼を獲得するアクションスペース。依頼は左の資源を払えば右側のコインや勝利点がもらえる

 ユーラシア大陸が描かれたゲームボードには都市やオアシスの他、さまざまなアクションスペースが配置されています。旅にはラクダとコインが、交易には金の延べ棒や絹織物、コショウが必要。ワーカーである自分の色のサイコロ5個を振って、これら資源の獲得▽旅を進める▽依頼を得る――などのアクションスペースに配置して効果を得ます。サイコロの出目によってもらえる資源が増減したり、他プレーヤーと同じアクションをする場合は小さな目が有利だったりするなど、サイの目に翻弄(ほんろう)されるゲームなのです。

陸路か海路か。あるいは交易に活路?

 ベネチアから大都に向かうには主に4ルートがあり、シルクロードを進むとラクダが大量に必要だったり、南回りの海路ではコインが重要だったり。大都市で商館を建てると新しいアクションスペースが使えるようになるのでルートをよく見極めることが大切です。あまり旅をせずに交易依頼を次々と達成して勝利点を稼ぐという作戦も。資源はいつもカツカツで苦しいゲームではありますが、勝ち筋が複数あるのは魅力ですね。

 とはいえ、サイコロの目に左右されるものの、資源を調達して一定の条件を達成するという骨格はよくあるゲームと言えます。しかし、「マルコポーロの旅路」の本質はそれぞれが担当する人物の固有能力にあるのでした。

ぶっ飛び能力。でもバランスは保障

強力な固有能力を持つ人物カード。左から▽「サイコロを振らないおじさん」▽「オアシスワープおじさん」▽「後からサイコロ置いてもお金払わないおじさん」 拡大
強力な固有能力を持つ人物カード。左から▽「サイコロを振らないおじさん」▽「オアシスワープおじさん」▽「後からサイコロ置いてもお金払わないおじさん」
「フビライ・ハーン」の人物カードを選べば、ゴール地点の大都(北京)からスタート 拡大
「フビライ・ハーン」の人物カードを選べば、ゴール地点の大都(北京)からスタート

 ゲーム開始時に選択する人物カードには特別な能力が付与されています。例えばシリア・ニザール派を率いたイスラム指導者「ラシード・ウッディーン・スィナーン」はなんとサイコロを振りません。アクションスペースに配置する際に出目を好きに決められます。あるいは欧州と中国を2往復したともいうマルコの叔父「マテオ・ポーロ」は、追加の白いサイコロを保持。ほかにはオアシスからオアシスへワープ移動できる修道士「ヨハンネス・デ・プラノ・カルピニ」など。マルコが仕えた「フビライ・ハーン」なんて、最初からゴール地点の大都にいます。

 能力がこうもバラバラだとゲームとして成立するのか心配になりますが、意外や意外、どの人物を選んでも勝負になるよう念入りにバランス調整されています。2019年には続編の「マルコポーロ2:大いなる帰還」も発売されました。筆者は未プレーですが、カツカツだった資源のやりくりが少しマイルドになったとのこと。

サイコロで「ウィーン」の大通りを駆け抜ける

大通りを馬車で駆け抜け、上流社会の頂点を目指す「ウィーン」 拡大
大通りを馬車で駆け抜け、上流社会の頂点を目指す「ウィーン」
華麗なゲームボードに自分のサイコロを配置して影響力を拡大させる 拡大
華麗なゲームボードに自分のサイコロを配置して影響力を拡大させる

 「ウィーン」もサイコロをワーカーに見立てて使用する作品です。プレーヤーは19世紀ウィーン社交界にデビューしたい新参者。大通りを馬車に乗って駆け抜け、人脈を築いたりお金を稼いだり。上手に立ち回って上流社会の頂点を目指します。

 プレーヤーは手番になったら手持ちの4個のサイコロを振り、大通りにある空いているスペースに置いていきます。その際二つ縛りがあって、①スペースに書かれた出目(二つのサイコロを足しても可)のサイコロ以外は置けない②自分が既に置いたスペースより先のスペースにしか置けない(ただしお金を払えば逆戻りできる)というもの。もちろん他プレーヤーが置いたスペースには置けないので、「本当はコインが欲しいけど、君を邪魔するためにここに置こうっと」「そこに置かれたら自分の計画が破綻するじゃないか」などわいわい盛り上がりながらプレーできます。

 全員がすべてのサイコロを配置したら、スタート地点から大通りに沿ってスペースに書かれたアクションを実行。人物カードに書かれたシンボルの数を両隣と比べて多いと勝利点がもらえるスペースが下流に集中しているため、上流で狙った人物カードをうまく獲得する計画性が重要です。街の有力者にこびを売って成り上がるというテーマには共感できませんが、サイコロの目のランダム性と他人との駆け引きを融合させた中量級の佳作です。日本語版は販売されていませんが、米国アマゾンなどで購入可能。日本語のルールは、有志の方がネット上で提供してくださっています。【野地哲郎】=次回は6月19日掲載

「マルコポーロの旅路」データ

 2~4人用◆所要時間1人あたり20~25分◆12歳以上対象◆ダニエレ・タシーニ、シモーネ・ルチアーニ作◆2015年初版

「ウィーン」データ

 3~5人用◆所要時間30分◆10歳以上対象◆ヨハネス・シュミダウアーケーニッヒ作◆2015年初版

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