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「なぜクビに」カニオブジェ破壊した若者 被害店主が導いた先は

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カニのオブジェが引き倒される様子を記録した防犯カメラ映像の一場面(武田源さん提供)
カニのオブジェが引き倒される様子を記録した防犯カメラ映像の一場面(武田源さん提供)

 夜明け前の食い倒れの街を歩いていた。新型コロナウイルスの感染急拡大で、街は静寂に包まれている。酒を浴びるように飲んだ2人の若者は、自暴自棄になっていた。「なぜ俺たちがクビなんだ」。ふと目に入ったのがカニのオブジェだった。せり上がる手脚を引っ張ってなぎ倒し、その場から立ち去った。オブジェに込められた店主の思いを想像することもなく。

 西日本最大級の繁華街として知られる大阪・ミナミ。オブジェはカニ料理店「大阪かに源 道頓堀店」が店先に置いていた。台座を含めて高さは約3メートルで、重さは約100キロ。幾重にも伸びる手脚が街ゆく人の目を引く。このオブジェを壊した2人が毎日新聞の取材に応じ、「後先を考えない行為で人の心を傷つけてしまった」と自身の過ちを悔いた。

 「事件」が起きたのは4月5日の明け方。新型コロナ対策の「まん延防止等重点措置」が大阪市に適用された初日だった。

 店を運営する武田源社長(48)は数時間後、従業員からの電話で事態を知った。「現実を受け止めたくなくて、しばらくオブジェに触ることもできなかった」。オブジェは台座ごと倒され、バラバラになった手脚が路上に散乱していた。

「カニで一旗」思い込めたオブジェ

 もともと商社マンだった武田さん。景気を底上げしていた訪日外国人(インバウンド)の急増に目をつけ、飲食店のオープンを目指した。選んだ地は無数の飲食店がひしめく全国屈指の激戦区・ミナミ。カニがインバウンドに人気の食材だと聞きつけ、2015年に事業を始めた。

 周囲はライバル店も多く、…

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