“野心的”な夢物語か、実現可能か 温室効果ガス「46%減」の道筋
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菅義偉首相が2030年度の新たな温室効果ガス排出削減目標「13年度比46%減」を打ち出した。従来の「26%減」からの大幅な引き上げを「野心的」と評価する声がある一方で、「非現実的」との見方も強い。今年度も含めあと10年。研究機関などの分析から実現可能性を探る。【阿部周一】
菅首相は4月22日、本部長を務める政府の地球温暖化対策推進本部で新目標を表明した。会合では「さらに50%の高みを目指して挑戦を続ける」とも述べた。
「46%」の根拠について、政府はまだ具体的な説明をしていない。19年度の排出量は12億1200万トンで、新目標はこれを30年度に7億6000万トンまで減らすことを意味する。削減分4億5200万トンは、国内の発電電力量の8割近くを占める火力発電所から出る二酸化炭素(CO2)をゼロにしても届かない量だ。
「30%減程度なら達成可能だが、46%減は難しい」。電力中央研究所(電中研)社会経済研究所の間瀬貴之主任研究員は断言する。
電中研の試算によると、30年度の電力需要は9821億キロワット時。国内の発電量に占める原発の比率を約2割、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを3割近くに高め、さらに粗鋼生産量の減少などを見込んでも、30年度は40%減が関の山という。
しかもこの試算は、国内総生産(GDP)が年率0・9%で成長し、さらに30年度までに原油換算で年6000万キロリットル(政府の現行目標の1・2倍)相当の徹底した省エネができるという前提をおいている。経済産業省の審議会が示…
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