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米当局がアマゾン提訴 透明性向上が求められる

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 インターネット通販大手の米アマゾンが出品者の自由な価格設定を妨げていたとして、米首都ワシントンの司法当局から独占禁止法違反の疑いで提訴された。

 訴えによると、自社サイトの出品者に対し、他のサイトと同水準か、さらに安い価格で販売するよう要求し、従わなければサイトから締め出すといった制裁措置を科していたという。

 アマゾンはかつて、出品者に最安値を保証させる契約を結んでいたが、日米欧の独禁当局が調査に乗り出したため撤廃した。その代わりに制裁を伴うルールを設け、価格決定権を保とうとしていた可能性がある。

 事実なら、手法を巧妙に変えながら、競争環境をゆがめていたことになる。

 アマゾンは「出品者は自ら販売価格を設定している」と反論する。それなら、出品者との契約内容について十分に説明し、透明性を高める必要がある。

 同様の事例は国内でも指摘されている。公正取引委員会が2019年に行った調査によれば、アマゾンや楽天の出品者の4割近くが、価格や品ぞろえに関し運営会社から要請や指示を受けていた。

 アマゾンのようなプラットフォーマーは、効率的で集客力の高いシステムを開発し、出品者や消費者になくてはならない社会インフラとなった。しかし、優越的な立場に乗じて市場を支配するような行為を許せば、自由で公正な競争が阻害される。

 その結果、革新的なサービスが生まれなくなったり、価格が高止まりしたりすれば、最終的に不利益を被るのは消費者だ。

 主要国の競争政策当局は、プラットフォーマーに対する監督や規制を強めている。

 グーグルやフェイスブックは、他社の参入への妨害や、ライバルになりそうな新興企業の買収で、競争の芽を摘んだ疑いがあるとして、米当局から提訴された。

 米議会などでは、寡占の弊害を是正するためにプラットフォーマーの分割を求める声がある。市場シェアや利益を求めるばかりでは、消費者の不信は深まる一方だ。

 公正さに目配りし、取引先や消費者と向き合ってビジネスモデルの改善に努めるべきだ。

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