「やぎさん答弁」に見る菅首相の戦略は? 上西充子・法政大教授

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上西充子・法政大教授=東京都千代田区で2020年1月22日、内藤絵美撮影
上西充子・法政大教授=東京都千代田区で2020年1月22日、内藤絵美撮影

 ♪しろやぎさんからおてがみついた くろやぎさんたらよまずにたべた……。国会の菅義偉首相の答弁が、質問を読まずに食べちゃった「やぎさんゆうびん」みたいだとして、「やぎさん答弁」と名付けられた。きっかけとなるツイートをした上西充子・法政大教授は、かつて「ご飯論法」を世に広めた国会ウオッチャー。「『やぎさん答弁』から菅首相の言葉の本質が見えてくる」と語る。そのココロは?【小国綾子/オピニオングループ】

開催する? しない?

 問題の「やぎさん答弁」があったのは、5月10日の衆参両院の予算委員会集中審議。立憲民主党の山井和則議員が「ステージ3の感染急増、あるいはステージ4の感染爆発の状況でも東京オリンピック・パラリンピックを開催されるんですか」と質問した。

 しかし、菅首相の答弁はおよそ、この質問とはかみ合っていなかった。

 「開催にあたっては選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じ、安心して参加できるようにするとともに、国民の命と健康を守っていく。これが開催にあたっての私の基本的な考え方であります」

 開催するのか、しないのか? 山井議員が何度重ねて問うても、菅首相は「開催にあたっては……」という同じ文句を繰り返した。

 そのやりとりがいかなるものだったかの全貌を知るには、質疑の書き起こしを読むのが一番いい。上西さんは自身のnoteに書き起こしを掲載した。

 以下に、答弁の一部を抜粋すると……。

●山井議員:菅総理、これ、オリンピックが開催される7月、8月、ステージ3の感染急増、あるいはステージ4の感染爆発、そういう状況でも、オリンピック、パラリンピック、これは開催されるんですか。

●菅義偉首相:(略)オリンピック・パラリンピックですけども、まず、現在の感染拡大をくい止めることが大事だと思います。東京大会について、IOC(国際オリンピック委員会)は開催をすでに決定をし、各国にも確認をしております。開催にあたっては、選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じて、安心して参加できるようにするとともに、国民の命と健康を守っていくのが責務だと思います。(略)しっかり、準備は進めていきたい、このように思います。

(中略。この間、山井議員が「感染急増のステージ3、感染爆発のステージ4でもオリンピックはやるんですか?」と問い、菅首相が「開催にあたっては、選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じ、安心して参加できるようにするとともに、国民の命と健康を守っていく」と答える場面が2度繰り返された)

●山井議員:菅総理、これ、国民の命、かかっているんです。かつ、海外から来られるアスリートの方の命もかかっているんです。これだけ聞いても答えないということは、これ、全国の医療従事者、介護従事者、コロナで苦しんでおられる方も、これ見ておられますよ。感染爆発してても菅総理はオリンピックをされるというお気持ちなんですか?

●菅首相:そんなことはまったく申し上げておりません。開催にあたっては、よく聞いてください、選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じ、安心して参加できるよ…

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