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米中の通商協議再開 世界経済の回復に責任を

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 大国の対立が続くと、新型コロナウイルス禍からの世界経済の回復に足かせとなりかねない。

 米中両政府は、懸案となっている通商問題を巡って、閣僚級の協議を先週、再開した。バイデン米政権の発足後初めてだ。

 トランプ前政権は「中国は不公正な貿易で利益を得ている」と批判し、巨額の制裁関税を発動した。反発した中国が報復し、現在も高い関税をかけ合ったままだ。今回の協議も平行線で終わった。

 関税は輸入品価格を上昇させ、消費者や企業に負担を強いる。米中関係の悪化は世界への影響も大きく、コロナ禍の前から、日本など各国の景気を停滞させた。

 協議では、国の競争力を左右する半導体などハイテク製品への規制も対象になっている。

 トランプ前政権は半導体の対中輸出を規制した。これに対抗して中国は国産化を急いでいる。バイデン政権も国内生産の強化を図るとともに、国際的な供給網から中国を切り離す構想を掲げている。

 半導体を囲い込む米中対立のあおりを受け、日本企業は必要な量を確保できず、自動車などの生産に支障が生じている。覇権争いが世界を混乱させるようでは困る。

 米中は経済的なつながりが深く、分断は現実的ではない。大国として対立を制御し、世界経済を安定させる責任がある。

 バイデン政権は国際協調を掲げているが、中国には強硬な態度で臨んでいる。香港や新疆ウイグル自治区での人権侵害、台湾への圧力強化などを問題視している。

 来年の米議会中間選挙に向け、安い中国製品に押されて衰退した企業の労働者らにアピールする狙いもあるのだろう。

 だが一方的な制裁は国際ルールに反する。国際秩序より自国の利益を優先する保護主義的な政策を続けるようでは、トランプ前政権と同じと見られても仕方がない。

 中国の対応も問題が多い。米国企業の独自技術など知的財産権を侵害したり、自国の半導体産業などに多額の補助金を支給したりして、貿易をゆがめていると批判されてきた。

 米中は大国の責任を自覚する必要がある。国際ルールに基づいて早急に対応を改め、問題の解決を図るべきだ。

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