漫画村運営の星野路実被告に実刑判決 「文化の発展阻害しかねない」

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福岡地裁=福岡市中央区で、吉川雄策撮影 拡大
福岡地裁=福岡市中央区で、吉川雄策撮影

 人気漫画をインターネット上の海賊版サイト「漫画村」(2018年閉鎖)に無断公開したとして、著作権法違反などの罪に問われたサイト運営者で首謀者とされる星野路実被告(29)に対し、福岡地裁(神原浩裁判長)は2日、懲役3年(求刑・懲役4年6月)と求刑通りの罰金1000万円、追徴金6257万円の実刑判決を言い渡した。

 神原裁判長は、他のサイトが不正に公開した画像を仲介しただけで著作権法違反には当たらないなどとした弁護側の主張を「高度な違法性を有する」として退け「著作物の収益構造を根底から破壊し、文化の発展を阻害しかねない犯行」と指摘。そのうえで「作家が生み出した作品を労せず利用し、多額の金銭を得ようとした」と断じた。

 判決によると、星野被告は既に有罪判決が確定した他の仲間らと共謀し17年5月、人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」と「キングダム」の画像データをインターネットを利用する不特定多数が見られるようにし、作者の著作権や出版元の出版権を侵害。16~17年にはサイトの広告収入を含む計6257万円を広告代理店に依頼して海外口座などへ送金させ、不正な利益を隠すなどした。

主な海賊版サイトだけで推定被害額3649億円

 判決後に福岡市内で記者会見した大手出版社、集英社(東京)の担当者は「実刑判決は一定の抑止力になる」と評価した。一方、漫画村閉鎖後も海賊版サイトは乱立し、新型コロナウイルスの感染拡大で在宅時間が増えたことも影響したのか被害は増え続けており、担当者は「今後も厳正に対処していきたい」と話す。

 同社も加盟する海賊版対策の一般社団法人ABJによると、現在も約700の海賊版サイトが運営されているという。計算できる主な5サイトだけでも2020年1月~21年3月に「タダ読み」された著作権侵害による推定被害額は3649億円に上る。4月以降も月500億円程度の被害が出ており、ABJの担当者は「史上最悪の状態」と危機感を募らせる。

 海外に拠点があるとみられるサイトも多く、出版各社は連携もしながら海外での訴訟やサイトの削除要請などを進めるが、閉鎖されても新たなサイトが立ち上がる「いたちごっこ」が続いているという。ABJは「海賊版の閲覧は悪質なアダルトサイトに誘導されるなどのリスクがあり、何より漫画家や書店・出版関係者が得られる正規報酬が奪われ、漫画文化を衰退させてしまう」と閲覧者側にも警鐘を鳴らしている。【平塚雄太】

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