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私の社会保障論 日本こそ健康経営を=東レ経営研究所特別研究員・渥美由喜

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渥美由喜氏
渥美由喜氏

 最近、健康経営に取り組む企業が増えている。私が健康経営の研究に取り組むきっかけの一つは、亡父が10代だった頃の痛恨事を聞いて育ったからだ。宮大工棟梁(とうりょう)の後継ぎだった父は、中学卒業後、棟梁である祖父に弟子入りし、毎日4時に起床。兄弟子よりも早く現場に行き、夕方、現場の後片付けをして夜学へ。大学に進学する夢を抱いていた父は、帰宅後も夜中まで受験勉強。有名私大から推薦合格の連絡があり、喜んだのもつかの間、無理な生活がたたって統合失調症を発症。同時期に祖父も心不全で亡くなり、やむなく大学進学を断念した父は、よく「健康第一。体さえシャンとしていれば、他は後からついてくる」と口にしていた。

 7人の子どもを残して早世した祖父のことを父は「家族の幸せを願い、体にむち打って働いていた。子どもが病気になると、医者を駆けずり回り、出費は惜しまないくせに、自分の健康には無頓着。昔の親はみんな自分のことは後回しだったが、おやじにもっと自分の体をいたわってくださいと進言すべきだった」と悔いていた。

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