中国少子化のメカニズム 一人っ子政策で何が起きたのか
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世界各地を記者が歩きながら少子化にまつわる共通の課題や子どもを持つ意味、家族の幸せを考える連載「少子化考」。韓国に続く2回目は中国に舞台を移したい。
世界最大の14億人の人口を誇る中国でも急速な少子化が進む。2020年の出生数は1200万人と前年より2割近く減り、1949年の建国以来最大の落ち込み幅となった。30年以上続いた「一人っ子政策」は何をもたらしたのか。
農村で起きていること
中国河南省南部、駐馬店市泌陽県和岡村。コンクリートのひび割れが目立つ道路の周囲に、小麦やトウモロコシ畑が広がる。この小さな農村が今春、SNS(ネット交流サービス)で中国全土の注目を集めた。村に住む55歳の男性の結婚式で、見た目の幼い花嫁が泣き続ける動画が拡散したからだ。「未成年を無理やり結婚させたのではないか」。批判が広がる中、地元当局が調査に入った結果、女性は20歳で、両家の同意のもと結婚には問題がなかったことが判明した。
そもそもなぜ男性と村は注目されたのか。背景には、中国の地方が抱える「嫁不足」の問題があった。
記者が5月の週末に男性の自宅を訪ねると、騒動に嫌気がさしたのか、男性は「洗濯中だから時間がない」と何も答えなかった。だが、近くに住む張さん(29)は「集落には適齢期の男性が十数人いるが、自分も含めてみな独身ばかり。相手の女性がなかなか見つからない」と村の悩みを話した。
消えた若い女性たち
「ここらで男性が結婚するには家と車のほか、10万元(約170万円)以上の結納金が必要だ。でも最近は、都市部に家…
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