最新VRで黄金の鎌倉大仏 創建時の姿と謎に迫る 鎌倉で企画展

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷
VR大仏殿に鎮座する鎌倉大仏=湘南工科大長沢・井上研究室提供 拡大
VR大仏殿に鎮座する鎌倉大仏=湘南工科大長沢・井上研究室提供

 誰もが知っているのに実は謎だらけの鎌倉大仏。その創建時の姿に文献や考古資料、最新のVR(仮想現実)技術で迫る企画展「鎌倉大仏~みほとけの歴史と幻の大仏殿~」が神奈川県鎌倉市の鎌倉歴史文化交流館で開かれている。湘南工科大の協力で製作された「VR大仏殿」の中に鎮座する黄金の鎌倉大仏が拝観できる。【因幡健悦】

 鎌倉大仏(国宝銅造阿弥陀如来=あみだにょらい=坐像、高徳院大仏殿本尊)は像高11・39メートル、重さ約120トン。奈良の大仏と共に日本を代表する仏像の一つだが、実は多くの謎に包まれている。鎌倉幕府の歴史書「吾妻鏡」に明記されているのは1252(建長4)年に鋳造が始まったということだけ。完成年も作者も鎌倉幕府との関わりも判然とはしていない。

VR大仏殿の外観=湘南工科大長沢・井上研究室提供 拡大
VR大仏殿の外観=湘南工科大長沢・井上研究室提供

 企画展では、これまでの調査研究から、鎌倉大仏を「慶派仏師の作風と中国の宋文化の様式を組み合わせた表現」ととらえ、大仏殿も宋伝来の禅宗様建築として再現した。手本としたのは、禅宗様の代表的な建築とされる円覚寺の舎利殿(国宝)で、材木の素材感を生かした質朴で優美な外観となっている。大仏殿の内部は薄暗く、中央に金色に輝く大仏が鎮座している。

 大仏殿の規模は、2000~01年の高徳院境内発掘調査から、幅約44メートル、奥行き約42・5メートルと推定されている。遺構から屋根に用いる瓦が見つかっていないことなどから「当初は木の質感を生かしたひわだ葺(ぶ)きか、こけら葺きの禅宗様建築だった」と判断したという。

 鎌倉大仏の作者は、その力強い表現から慶派仏師との見方が有力だが、特定には至っていない。ただ、鋳造した鋳物師(いもじ)の1人は河内国(かわちのくに)(現大阪府)の丹治久友(たんじひさとも)と判明している。奈良・金峯山(きんぷせん)寺蔵王堂にかつてあった銅鐘で「大工鎌倉新大仏鋳物師」と名乗っているためだ。丹治は鎌倉時代に実施された奈良・東大寺の大仏の修理で、中国人の工人・陳和卿(ちんなけい)の下におり、その技術を鎌倉に持ち込んだとみられている。

 鎌倉大仏が造られたころの鎌倉は文化の転換期だったとされる。1232年に港湾施設の和賀江嶋(わがえのしま)が建造され、大陸から多くの文物がもたらされたからだ。宋から招かれた蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)が建長寺を開いたのが1253年。宋風文化を取り込んで進化する鎌倉の一角に金色の大仏を安置する巨大な禅宗様建築がそびえていたようだ。同館学芸員の有山佳孝さんは「研究成果を基に創建時の姿に迫ってみた。ぜひ、楽しんでほしい」と話している。

 来館者は文献、発掘調査を踏まえ、多角的に鎌倉大仏をひもといたハンドブックがもらえる。VR体験は、手指の消毒など新型コロナウイルス対策が必要。7月17日まで。日曜・祝日休館。一般300円、小中学生100円。問い合わせは(0467・73・8501)。

あわせて読みたい

注目の特集