車いすテニスの中学生が健常者の公式大会で2勝 感じた「壁」は

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練習する高室侑舞(ゆま)さん=高室さん提供
練習する高室侑舞(ゆま)さん=高室さん提供

 スポーツで、障害のある選手とない選手が一緒にプレーすることはどこまで可能なのか――。今年4月、東京都中学校体育連盟(中体連)のテニスの都大会予選で、車いすの女子選手がひとつの「壁」を破った。出場が認められ、2勝した。車いすの選手が出場したのは関係者によれば「初めて」。だが、破れなかった「壁」もあった。その壁とは何だったのか。【五十嵐朋子】

 障害のあるなしに関係なく同じ舞台でプレーすることは「インクルーシブ」(「包括的な」という意味)と呼ばれる。

 公式種目ではないが、テニスでは、車いすの選手と障害のない選手がペアを組む「ニューミックス」という形式がある。国枝慎吾選手と錦織圭選手がペアを組んでエキシビションマッチを披露するなど、その活動は広がりつつある。

 だが、公式戦では難しい。車いすや義足などの道具を巡って「公平性」が議論になるためだ。

 2012年のロンドン五輪。陸上男子400メートルなどに両足が義足のオスカー・ピストリウス選手(南アフリカ)が出場した。だが、当初、国際陸上競技連盟(現世界陸連)は「義足が人工的な推進力を与える」として認めなかった。ピストリウス選手の訴えを受けたスポーツ仲裁裁判所が判断を覆し、一転認められた経緯がある。

 右脚の膝下が義足のマルクス・レーム選手(ドイツ)は、パラ陸上の男子走り幅跳びで8メートル62の世界記録を持つ。五輪の選手と比べてもトップクラスだ。五輪出場を目指しているが、「義足が有利ではないと証明できない」として認められていない。

 そんな中、今年4月、都大会予選で、車いす選手の出場が認められた。

 障害のある人のスポーツ参加に詳しい順天堂大非常勤講師の雪下岳彦さんは「『スポーツ』と『障害者スポーツ』は別だという固定観念を打ち破ることにつながる。今回、公式大会で車いすテニス選手の参加が認められたのはすごい」と評価する。

 この選手は、高室侑舞(ゆま)さん(14)。日本車いすテニス協会の次世代育成強化指定選手にも選ばれる実力の持ち主だ。

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