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コロナで表面化「見えにくい貧困」に食料を フードバンク関西理事長

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認定NPO法人「フードバンク関西」理事長の中島真紀さん=神戸市内で 拡大
認定NPO法人「フードバンク関西」理事長の中島真紀さん=神戸市内で

 まだ食べられるのに処分される食べ物を集めて、必要な人たちに届ける――。コロナ禍にあって、この活動の重要性が増している。神戸市の認定NPO法人「フードバンク関西」の理事長、中島真紀さん(62)は「若い女性やひとり親家庭から、食べ物を求めるSOSが急増している。助け合いの輪を広げたい」と呼び掛けている。【まとめ・小栁津早霧】

 フードバンクは「食べ物の銀行」という意味。市場や家庭で余っている食べ物を預かって、足りないところに配る活動です。米国で始まり、世界中に広まっています。

 私たちの団体は2003年、1人の米国人男性がフードバンクを立ち上げようと、外資系スーパーから提供を受けた食品をホームレスの支援団体に配り出したのが始まりです。私は13年にボランティアとして加わり、20年春に3代目理事長になりました。

個人が持ち寄る「フードドライブ」を通じて届いた食べ物。賞味期限を点検して仕分けするボランティアスタッフ=神戸市内で 拡大
個人が持ち寄る「フードドライブ」を通じて届いた食べ物。賞味期限を点検して仕分けするボランティアスタッフ=神戸市内で

 設立当初は、提供企業や配布先を探すのに苦労したと聞きます。最近は、SDGs(持続可能な開発目標)や食品ロス削減などの意識向上で、企業や個人からの提供が増えてきました。配り先も、子どもや女性の支援に幅を広げています。

 そんな中、コロナ禍で「目に見えにくかった貧困」が一気に噴き出したように感じます。私たちの団体に、個人から直接「食べ物をください」というメールや電話がくるようになったのです。

 今まで個人とは直接やりとりをしてこなかったので、驚きました。というのも、私たちは生活相談の専門団体ではないので、困っている人の状況を的確に把握できないからです。あくまでも行政や支援団体などを通じて、要請・紹介を受けた方に提供していました。

 でも行政に即、つながることができない人もいるでしょう。相談先が分からず、SOSを出しているのかもしれない。緊急性が高いと判断した場合は、1回だけ食品を送ることにしました。

 お米やレトルトカレー、ラーメン、缶詰、お菓子、飲料などを箱に詰めます。20年度は81件。関西を中心に、遠くは北海道まで。最近は若い女性やひとり親家庭からの連絡が増えて、21年は4月だけで73件になりました。

 食品を受け取ったある女性が手紙をくれました。「中学生の子どもが『今日は食べるものがある』と喜ぶのを見て、涙が出ました。コロナ禍で職がなくなり、落ち込み、疲れ果てていましたが、元気を出していきます」と。

 たった1回送っても状況は変わらないかもしれない。でもこんな風に前向きな気持ちになってくれるなら、やっていて良かったなと思います。

 これとは別に、20年度は新たに「食品パックプロジェクト」という個人への直接食支援の事業も始めました。計3回、一般世帯やひとり親世帯から申し込みを募り、計約2000世帯約6600人に21トンの食品を宅配で送りました。21年度も夏休みと年末の2回、兵庫県内の子育て世帯に食品を送る予定です。

 宅配料が運営費の負担になりますが、私たちの活動を応援する寄付をいただくことも多く、その気持ちにお応えできるように頑張っていこうと思います。中には「何が必要ですか」と聞いて、わざわざ購入して送って下さる方もいます。常に足りないのは、お米です。マスクやシャンプー、文具などが集まることもあり、食品と一緒に詰めて送ると、喜んでもらえます。

 当面は困っている人たちの方を向いて活動を続けたいと思います。将来的には、困っている人へ食品の無料提供をする「フードパントリー」が地域のあちこちにできるといいなと思います。困っている人が歩いてたどり着け、そこで生活相談もできたりして。私たちは、フードパントリーに食べ物をお届けする。そんな役割分担が理想です。

フードバンク関西

 2003年設立。企業や個人から寄贈された食品を、福祉施設や子ども食堂、困窮する個人へ無償で分配する活動に取り組む。20年度は企業180社から食品251トンの提供を受けた。

 約100人のボランティアが協力企業との交渉、食品の検品、仕分け、配送、事務所の運営などにあたる。事務所には冷蔵・冷凍庫があり、肉や魚を含む食品を約140の受け取り団体に取りに来てもらったり、配送したりする。

 個人が食品を寄付する場合、対象は賞味期限まで1カ月以上あり、常温で未開封、表示がついたもの。事務所へ直接持ち込むか宅配で送る(送料は送り主負担)。詳しくは、ホームページ(https://foodbankkansai.org/)を参照。事務所は神戸市東灘区深江本町1。日曜・祝日を除き午前10時~午後3時(土曜は午後2時まで)。078・855・7025、ファクス078・855・7028、メール(info@foodbankkansai.org)。

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