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湖北で巡拝、井上靖「星と祭」 暮らしの中に「観音さん」

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 東京から大阪へ転勤して2年。関西のお寺参り、特に仏像にハマった。先輩記者から「そんなに好きなら滋賀に行ってみるといい」と言われ、井上靖の小説「星と祭」を薦められた。文豪が何度も足を運んだ滋賀県・湖北で、独特の観音文化に触れた。

 東京で貿易会社を経営する架山は、竹生島(ちくぶしま)近くで起きたボート転覆事故で17歳の娘を亡くす。7年後、架山は琵琶湖で、娘をボートに誘い一緒に死んだ青年の父、大三浦と再会。十一面観音を巡拝することで息子の死を受け止めようとしていることを知る。当初のわだかまりが薄れていく架山。大三浦に誘われて観音を巡り、地元の人々の信仰に触れることで娘の死と向き合い始めていく。

 湖北は長浜市など琵琶湖の北東部を指す。平成の大合併で、観音さんが多い高月町や木之本町など八つの町が同市と一つになった。市内には130体以上の観音菩薩(ぼさつ)像が点在。長浜市木之本町にある己高山(こだかみやま)(923メートル)では古来数多くの寺院が観音を祭り、戦国時代には仏像を戦禍から守るため、村人が地中に埋めたり川に沈めたりして隠した。それが村に伝わり、お堂などに祭られているのだという。

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