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記者もモヤモヤ…東京五輪「選手の努力をムダにするな」論

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闘病生活を経て、東京五輪切符をつかんだ水泳の池江璃花子さん。「奇跡の復活」を果たした池江さんはもちろん、選手の活躍を見たいのだけれど……=東京アクアティクスセンターで2021年4月10日、宮間俊樹撮影
闘病生活を経て、東京五輪切符をつかんだ水泳の池江璃花子さん。「奇跡の復活」を果たした池江さんはもちろん、選手の活躍を見たいのだけれど……=東京アクアティクスセンターで2021年4月10日、宮間俊樹撮影

 モヤモヤしている。中ぶらりんの東京五輪である。開催か中止か、世論も割れたままだけど、最近ではこんな開催論も語られはじめた。「病を乗り越えて五輪切符をつかんだ水泳の池江璃花子さんに『中止』が言えるか」「五輪に懸けてきた選手のためにも開催しよう」……。選手の努力には頭が下がるが、そういう問題か? 【吉井理記/デジタル報道センター】

家族全員に重症化リスク

 記者は東京都内に住む。夏に出産予定の妻はもともと免疫系の基礎疾患があるうえ、今は妊娠中で抵抗力が落ち、体調をよく崩す。幼い長女は気管支が弱く、軽いかぜで激しくせき込む。これは記者も同じ。都内在住の両親もぜんそく、がんなどの基礎疾患を抱え、あるいは闘病歴がある。つまり家族全員、もれなく重症化リスクが高い。コロナが怖いのだ。マジで。

 何せ「対策の徹底で国民の命や健康を守る安全・安心の大会を実現する」(5月19日、参院本会議で菅義偉首相)といいながら、今も治療すら受けられずに亡くなる人が相次ぎ、ワクチン接種は進まず、すでにして「命や健康」は守られていないのだ。しかも、政府は「安全・安心の大会にする」と繰り返すが、どこまで状況が改善すれば、そうなるのかの根拠が不明確なのだ。

 この状況で、仮に無観客であっても巨大イベントになる五輪の開催は、家族の健康へのリスクを高めこそすれ、リスクを低減することは決してない。今はワクチン接種と医療体制の整備に注力すべきではないか。

元五輪担当相も「選手のために大会を」

 ……というわけだが、自分の考えを記すのにちゅうちょした。というのも、中止論へのこんな意見・批判も多いからだ。例えばツイッターでは――。

 <池江選手に面と向かって中止が言えるのか>

 <目標に向かって努力しているアスリートに失礼極まりない。(中略)中止中止言ってるやつらは同じ日本人として恥ずかしい>

 <選手は人生を懸けて勝負している(中略)選手をないがしろにしてよいのか>

 <五輪は努力をしてきた選手への正当な対価>

 SNS以外にもある。例えば遠藤利明元五輪担当相。「人生を懸けて努力してきたアスリートのために、大会を成功させたい(中略)大会がなくなってしまえば『何のために人生を懸けたのか』となってしまうだろう」(5月26日付毎日新聞デジタル「政治プレミア」)

 うーむ。選手を思えば「僕の家族が心配だから五輪をやめて」などとは何となく言いづらい。ちゅうちょした、というのはここだ。「五輪に人生を懸けた」選手のためにも開くべきなのか?

 「何を言っているのでしょうか。それは一見、選手の立場に立つ言葉に聞こえますが、本当にそうでしょうか」とお怒りなのはスポーツライターの草分け、玉木正之さん(69)。

大御所もお怒り「『かわいそう』は選手に失…

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