「年取ったら居場所ないのか」 女性を失業に追い込んだ問題とは

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「ここを放り出されたら後がないんです」女性は必死に訴えたが、ある問題で失業に追い込まれた(写真はイメージです)=ゲッティ
「ここを放り出されたら後がないんです」女性は必死に訴えたが、ある問題で失業に追い込まれた(写真はイメージです)=ゲッティ

 「ここを放り出されたら後がないんです」。コールセンター勤務のパート社員、山本里美さん(仮名、50代)は職場の面談で、必死に訴えた。しかし、願いはむなしく、山本さんは仕事を失った。多くの女性が直面しながら語られることの少ない、その理由とは――。【藤沢美由紀/デジタル報道センター】

 この会社に入れて良かった。2018年6月、パート社員としてコールセンターで働き始めた山本さんは、そう思った。それまで働いていたのは、雇用保険もなく、職場で寝泊まりするのも当たり前とされるエステサロン。体力の限界を感じ、転職先を探しても40代後半という「年齢の壁」に直面した末に、ようやく見つけた転職先だった。

 コールセンターの仕事は携帯電話に関する問い合わせに答えるもので、週3日の勤務だった。山本さんは元々生理痛がひどく、鎮痛剤が効かずに休むこともあった。生理休暇制度の存在を知らず、休みは通常の欠勤として処理された。職場は勤怠管理に厳しく、現場管理者から注意されることもあった。入社数カ月後に同僚から生理休暇があると知らされたが、現場管理者からは「取るなとは言わないが、あまり休むと印象が悪い」とくぎを刺された。

ひどい頭痛にめまい…医師の診断は

 20年8月、体調が悪化した。頭が割れそうに痛い。冷房の利いた部屋でもひどい暑さを感じたり、めまいや吐き気にも襲われたりした。朝起きるとふらふらして外出もままならず、やむを得ず遅刻や欠勤をすることが増えた。婦人科を受診すると「更年期障害」と診断された。「あと5年は不調が出る可能性がある。気を付けても体調を良くするのは難しい」。医師はそう説明した。

 20年12月末、現場管理者との面談があった。「12月から2月の出勤率を90%に改善しなければ次の契約更新は難しい」と伝えられた。途方に暮れた。出勤率90%を下回ることが続いていたし、12月はもう過ぎている。リカバーできるとは思えない。

 山本さんは東京都内で夫と暮らす。自身の収入が家計に占める割合は大きい。「ここで(会社に)切られたら、ここを放り出されたら、もう後がないんです」。現場責任者に懸命に訴えた。更年期障害のことも伝えたが、「そうなんですか」とつれなかった。「自信はないけど、頑張ります」と応じるしかなかった。

「ヒステリーばばあ」は偏見だった

 しかし、処方された薬が体に合わなかったこともあり、…

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