池袋暴走事故 「私は鬼になる」 そう語る松永さんの真意とは

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真菜さんと莉子ちゃんと暮らした部屋で、インタビューに答える松永拓也さん=東京都豊島区で2021年4月29日、小川昌宏撮影
真菜さんと莉子ちゃんと暮らした部屋で、インタビューに答える松永拓也さん=東京都豊島区で2021年4月29日、小川昌宏撮影

 東京・池袋で2019年4月に起きた乗用車の暴走事故で妻子を亡くした松永拓也さん(34)が6月、被害者参加制度を利用して法廷に立つ。自動車運転処罰法違反(過失致死傷)に問われた旧通産省工業技術院の元院長、飯塚幸三被告(90)に初めて直接質問するためだ。「鬼になるしかない」。事故発生から2年あまり。妻真菜さん(当時31歳)、長女莉子ちゃん(同3歳)への思いを胸に、事故後の心境の変化を語った。【聞き手・柿崎誠】

加わった四つ目の思い

 ――20年10月に始まった裁判に期待したことは。

 ◆裁判がどんな結果になっても2人の命や日常は戻りません。一人で夜眠る時は、むなしいですよ。それでも、僕は三つのことを言い聞かせて裁判に参加しています。

 一つは、この先も生きていかなければならない僕たち親族が将来、やれることはやったと思えるようにしたいということ。二つ目はこれだけ大きな交通事故が、軽い罪で終わる前例を作ってはいけないということ。三つ目は、裁判で真実が明らかになって、法律や免許制度、車の技術、地方の高齢者の足をどう解決するのかなど事故を防ぐためにどうすればいいのか、国全体の議論につながってほしいということです。

 <4月27日の公判では初めての被告人質問が行われた。車の記録装置にアクセルペダルを踏み込んだデータが残っていたことが明らかになっている中、被告は「アクセルを踏んでいないのに、エンジンが高速で回転して加速した」「アクセルペダルが(運転席の)床に張り付いているのが見えた」などと無罪を主張した。松永さんは公判後の記者会見で「荒唐無稽(むけい)な主張をされ続け、事故後、一番絶望した」と話した>

 ――裁判後の会見では厳しい発言が続きました。

 ◆かなり取り乱していました。悔しかった。裁判への思いや交通事故の現実を多くの人に知ってもらい、事故を一つでも防ぎたいという目的があるので、普段は…

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