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総務省の接待問題調査 行政ゆがめた責任は重い

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 総務省と放送・通信業界との根深い癒着ぶりが改めて浮き彫りになった。

 同省幹部らが放送事業会社「東北新社」から接待を受けていた問題に関連し、第三者による検証委員会が「行政をゆがめたとの指摘は免れない」との調査結果をまとめた。

 同社は2017年8月、放送法の外資規制に違反していることに気づき、当時の担当課長に報告したと主張している。だが、担当課長だった同省幹部は「記憶は全くない」と述べ、食い違っている。

 検証委は、当時の課長らが規制違反の事実を認識しながら、同社の認定取り消しなどを行わなかった可能性が高いと結論づけた。

 当時の課長らは依然として否定しているというが、同社から繰り返し接待を受け、プロ野球のチケットも受け取っていた。行政がゆがめられたと指摘された以上、その経緯を徹底的に解明しなければならない。

 同社の接待の多くには、幹部だった菅義偉首相の長男も出席していたという。直接の担当者ではない長男がどのような役割を担っていたのかも分かっていない。

 一方、総務省幹部らへの接待が、同社に限らず行われていたことが内部調査で判明した。

 国家公務員倫理規程に違反する接待は、同社やNTTなどから延べ78件に上る。新たに32人の職員が処分されたが、これは調査対象の5人に1人にあたる。異常事態と言わざるを得ない。

 こうした状況を見過ごしてきた武田良太総務相ら歴代大臣の責任は極めて重い。

 新たに判明した接待のうち、50件余りは、NTTとNTTドコモによるものだ。

 NTTは菅政権の発足後、ドコモを完全子会社にすると発表し、社長を交代させた。首相の看板政策である携帯電話料金の値下げへの対応も迫られていた。過剰な接待の背景に何があったのか。

 検証委は、NTTを巡る問題を含めて調査を続けるという。

 国民の不信を拭うには徹底的な調査が不可欠だ。検証委だけでは限界がある。国会も真相究明に乗り出すべきだ。

 あらゆる手を尽くして癒着構造を解明しなければならない。

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