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脱炭素へ牛のげっぷ「8割減」 第一人者が明かす秘策とは

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牧草地で草を食べる牛たち=栃木県大田原市で2021年4月13日、湯浅聖一撮影
牧草地で草を食べる牛たち=栃木県大田原市で2021年4月13日、湯浅聖一撮影

 牛のげっぷが地球温暖化の要因として注目されている。メタンを多く含み、温室効果が二酸化炭素(CO2)の約25倍にも上るためだ。脱炭素に向けて「2050年までにげっぷ内のメタン8割減」という難題に挑んでいるのが、北海道大大学院の小林泰男教授(動物機能栄養学)が率いるプロジェクトチーム。あの手この手でげっぷと格闘する小林教授らを取材した。【浅川大樹】

農水分野の排出の15%がげっぷ

 そもそも、なぜ牛のげっぷにはメタンが含まれているのだろうか。

 牛は四つの胃を持ち、干し草やトウモロコシなどのえさをのみ込んだ後、胃から口に戻して再びそしゃくする「反すう」を繰り返す。四つの胃で最大の第1胃は、約8000種類の微生物がすんでいる「発酵タンク」で、分解が難しい繊維質も消化できる。この過程でメタンを含む発酵ガスが発生し、牛がげっぷとして吐き出しているというわけだ。

 農業・食品産業技術総合研究機構の担当者は「乳牛1頭が出すげっぷは1日1800リットル前後と推定され、うちメタンガスが500リットル前後を占めます」と語る。「数分に1回、小さなげっぷをします。メタンガス自体は無臭ですが、えさの発酵で生じる他の成分の臭いがします。ただ、肉食や雑食の動物のフンほどは臭くないですよ」

 農林水産省によると、19年度の農林水産分野の温室効果ガス(CO2換算)排出量は約4747万トン。このうち、15・9%に当たる756万トンが「家畜の消化管内発酵」、つまり牛のげっぷによるものだった。同省幹部は「牛のげっぷというと笑い話のようだが、日本政府が50年に排出実質ゼロを目指す中、真剣に対応しなければならない問題だ」と強調する。

COPが転機に

 「牛のげっぷに含まれるメタンの削減は、50年近く前からごく一握りの研究者が細々と研究してきました」。そう振り返るのは、1980年代からこの分野の研究に取り組んできた小林教授だ。当初は温暖化対策ではなく、牛のえさを減らす方法を探るのが主眼だっ…

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