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トヨタ自動車の男性社員(当時28歳)が入社3年目に命を絶った問題で、豊田章男社長が上司によるパワーハラスメントとの因果関係を認めて和解が成立した。「会社の奴隷みたいだ」。自殺直前までSOSを周囲に出していた男性。パワハラ被害の目撃情報も寄せられていたが、管理職らは社内で情報共有せず悲劇を招いた。同社の再調査で浮き彫りになったのは、パワハラ情報に対する危機感の欠如だった。36万人の社員を抱える日本のリーディングカンパニーで何が起きていたのか。
「ニュースで初めて知った。取り返しのつかないことになってしまい、心からおわびします」。毎日新聞の報道で男性の自殺が発覚した2019年11月、豊田社長は遺族を訪ねて頭を下げた。労働基準監督署の労災認定を受け入れ、パワハラとの因果関係を認める方針を表明。社内調査をやり直すことも遺族に約束していた。
管理職が複数の情報スルー、報告せず
東京大大学院で航空宇宙工学を専攻し、15年4月に入社した男性。研修を終えた約1年後、将来を嘱望されて本社の車両設計部門に配属されたが、直属の上司に…
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